大分県別府市に住んでいる車いすの詩人、豆塚エリさんが自らの半生を描いたエッセイが9月16日から全国の書店に並んでいます。一度は死を選択するほど追い詰められた過去を救う言葉とは…
(豆塚エリさん)「飛び降りて頭をぶつけたとき病院に運ばれて、その後も何回も頭の中で思い返していてネタ作りをしていましたそのときから」

別府市でトークショーに出演している豆塚エリさん(29)。9月16日から全国で発売された「しにたい気持ちが消えるまで」という自伝エッセイの執筆秘話を語っていました。

愛媛県出身の豆塚さんは竹田市で暮らしているときに両親が離婚。貧困生活から抜け出すために大分市の高校に入学します。母からは東京大学への進学を迫られますが勉強はついていけなくなり、次第に追い詰められていきました。
(豆塚さん)「大人たちが楽しくなかったり、我慢ばっかりしていたりしたら子どもたちは罪悪感を抱くんですよ。自分たちのせいなんじゃないか自分もそうならないといけないとか、そうなったら楽しくないですよね生きることが。結局、私のことなんて見ていなかったな、愛されていなかったんだな」
高校2年の冬、残された道は自分で死を選ぶことしか残されていませんでした。
(豆塚さん 詩の朗読)「この日のために生まれてきたそう思えてならないのです。12月のそらはくもりひとつなくあたしを包んでいます」

豆塚さんは一命をとりとめますが、頚椎損傷で胸から下の感覚を失い、車いすの生活が始まりました。


19日は別府市内のギャラリーで自伝エッセイの出版記念イベントが開かれました。

今回は東京の出版社の依頼を受けて「自己肯定感」をテーマに制作。初版4000部の全国販売です。

台風の影響で19日はあいにくの荒れ模様でしたが、豆塚さんに一目会いたいと多くの人が訪れました。
(新作の購入者)「難しい表現もあるけど、鋭いような表現もする緩急が好きです」

(別府市在住の画家二宮敏泰さん)「見る人を別の世界に連れて行ってくれるような詩で、見ている人が自分の世界の中で自分を広げていけるような形になっている」
