シカによる被害は深刻でも「頂いた生命無駄にしたくない」

シカによる農業被害が県内で最も多い広島市…。とりわけ多いのが白木山を含む安佐北区で、被害額の8割あまりを占めます。ジビエセンター代表の中矢和明さんは、1年前から開設を準備して来ました。

白木ジビエセンター 中矢和明代表
「シカが増えすぎて、農家さんにたくさん被害がある。シカの頭数を減らしているが、頂いた生命を無駄にしたくないという気持ちから、始めさせてもらった」

この日は農家からの通報を受け自ら、シカを引き取りに行きました。農家が仕掛けたワナには親子とみられる2頭のシカがかかっていました。

農家
「深刻ですね。野菜畑の囲いの中に入って、野菜をぐちゃぐちゃに食べられている」

中矢さんの本業は建設会社の社長です。センターを立ち上げたのは父親の存在もあります。父の松次(まつじ)さんは、地元の猟友会で駆除班長をしています。

父・中矢松次さん
「獲物を粗末にしない。頂くということが、私としては一番理想」

この日は、猟期に入ってはじめての日曜日。猟友会のメンバーでシカ猟に出かけます。

これまでメンバーはシカを捕獲しても、近くに保健所が許可したジビエの処理施設がないため、ほぼ自家消費していました。今後はセンターに販売できます。

猟友会のメンバー
「自分の家で食べたり、猟犬にやったりとか、市場に出回ることがなかったんで、出回るようになったら、シカの頭数も減って来るかもしれんですし」