ドアレスアートオキナワに所属するアーティストの照屋千春さん。

創作の場である自宅は、あちらこちらに照屋さんの作品が飾られ、まるで個展会場のようです。独特の色使いで直感的に、迷うことなくペンを走らせます。

▽照屋千春さん
「悩んだりは特にないかな、楽しめばいいから。楽しむのが一番。日課なので」

アーティスト 照屋千春さん

“楽しむ” が口癖の照屋さん。創作意欲を刺激するのは「音楽」です。

「音楽によって集中、入るんですよ。そうじゃないと良い絵が浮かばないので、ほぼ毎日聞いてますね」

母・直子さんによると、ある日インドの音楽を聞いていると、千春さんは知らないはずの曼荼羅(マンダラ)のような絵を描いていたという驚きのエピソードも。

母・直子さん(左)と千春さんの作品

特別支援学校では陶芸を専攻し、卒業後も制作を続けていた照屋さんですが、コロナ禍で自宅に閉じこもりがちに。そのとき、母から渡された色紙をきっかけに、絵を描き始めました。

その後、ドアレスアートオキナワにアーティストとして所属するようになると、展示販売会で、一般の人たちにも作品を買ってもらえるようになりました。

▽照屋千春さん
「すごく嬉しいです。ドアレスアートには去年から入っているんですけど、楽しい。売れることもありがたい」

「どんな絵も、(購入した人に)楽んでもらえるのが一番」

障がい者のあるアーティストの活動の場を広げ、経済的な自立を支援する「ドアレスアートオキナワ」の取り組みは、「人や国の不平等をなくそう」というSDGsの目標につながっています。

作品が売れることが「ありがたい」

▽ドアレスアート 呉屋マリヤ代表理事
「名前の通り、ドアがない、垣根がないということ。ドアレスアートという名前を 広めていくことがまず第一」

「国境を超えることも自由自在ですので、国内外に出していきたいというのが長期的な目標です」

「絵を生活・将来につなげていきたい。そういう絵を描いて売りたい。売った絵の収入で、自分で生活できる方法を考えていきたいな」

差別や偏見を超え、アートは平等であることを、ドアレスアートオキナワは教えてくれています。(取材 黒島ゆりえ)