幅広く愛される「生きる」 注目される理由は?

幅広い世代に愛される作品「生きる」。

生きているということ
いま生きているということ
それはのどがかわくということ
木漏れ日がまぶしいということ
ふっと或るメロディーを
思い出すということ
(「生きる」谷川俊太郎 詩 岡本よしろう 絵 福音館書店)

谷川俊太郎さん(2021年)
「『生きる』というのはなにか人に訴える力があったとみえて、教科書なんかにも載ってたし、すごく抽象的で何も主張していないんですよね。ただ生きているということを言っているだけ。その例として具体的なことが並んでいて。『かくされた悪を注意深くこばむこと』というところだけ、自分の意見が入っているような感じがするのね。人に何も教えようとしないし強制しようとせず、ただ言葉がそこに中立的にある。その言葉の選び方でみんな読んでくれたのかなという気がするんですけどね」

3年前の詩集「虚空へ」は、今の世の中の“あること”を意識しました。

谷川俊太郎さん(2021年)
「今の世の中はすごく言葉が氾濫するようになっちゃって、しかもフェイクニュースとか、認められていれば『事実』のようになってますよね。だからできるだけ少ない言葉で詩を書いてみたいというのが『虚空へ』の基本だったんですけどね」

SNSなどで言葉が溢れる社会に対し、できるだけ少ない言葉で…

問いが
そのまま
未来の
答え

言葉が
出来ないことを
音楽は
する

魂が
渇く
この数小節

調べとともに
輪廻する

(「問いがそのまま」 谷川俊太郎著「虚空へ」新潮社)

谷川俊太郎さん(2021年)
「随分前から僕は言葉のインフレということを考えてたんだけど、今まさに本当にインフレがだんだんひどくなっていって、量ばっかりあって質がどんどん薄くなっていっている感じがしますね」