発表内容《研究の概要》
オオサンショウウオ属は、現生の両生類の中でも非常に長寿であり、大きな体サイズをもつことが特徴です。
またオオサンショウウオ科は、現存する両生類の中でも古い歴史を持ち、その起源は中生代にまでさかのぼるため、化石種の生態や進化を解明する上で、非常に重要な比較対象とされています。研究では、広島市安佐動物公園の保有する日本産オオサンショウウオ8体と、ドイツ・ケーニヒボン博物館のチュウゴクオオサンショウウオ2体の骨の組織を解析しました。
ちなみに、現在生存しているオオサンショウウオ科の種は、
その結果、オオサンショウウオは、大きな骨組織を伴う特有の骨組織を持ち、骨組織中のコラーゲン線維の配向性が揃っていないことが明らかになったそうです。【画像②】
これは現生の他の動物では見られない、中生代の大型両生類のメトポサウルスや水棲爬虫類のシモ
この結果は、オオサンショウウオがまさに生きた化石であり、古生物の適応進化を知る上で重要な存在であることを示すそうです。

また、性成熟を迎えたと考えられる年齢の標本では、多くの両生類と同様に明瞭な成長線が確認され、年齢が不明な骨組織標本でも、その個体の成長段階を推定できる可能性があることも判明したということです。【画像③】

また、研究で使用したオオサンショウウオの標本のほとんどは、広島市安佐動物公園が1979年の繁殖成功から維持し続けてきた飼育下繁殖個体で、長年にわたって収集されたデータに基づいています。
これにより、野外で採取された個体では困難である年齢や性成熟のタイミングと骨組織の変化の関連性を明らかにすることができました。同時に、動物園における希少種の繁殖や標本収集などの取り組みが、その種の基礎研究や生態系保全にも貢献しうることが改めて示されました。