“SNSの力”と既存メディアの役割
藤森祥平キャスター:
そして2024年は選挙イヤーでもありまして都知事選や衆議院選挙など、色々な形で選挙のあり方について指摘もされる中で、アメリカ大統領選でもありましたがこの選挙での情報については「ファクトチェック」が大きなポイントになっていました。

今回の兵庫県知事選でも、稲村さんについて「外国人参政権を与えようとしています」とSNSに流れましたが、本人はこれについて「推進する立場でない」と否定していて、事実とは違う情報が流れているんですね。
小川彩佳キャスター:
今回の選挙に限らず、本当に2024年の選挙は、1つ1つがSNSの影響力を強く感じる局面が多くありました。
星浩さん:
テレビは放送法という法律で、公平に扱わなければいけないと決まっているので、どうしても選挙が始まると慎重になります。ある意味で、紋切型の報道にならざるを得ません。そこの間隙を突く形でSNSが出てきて、かなり一方的な中傷やデマも流れてくる。この状況は改善する必要があります。
しかし、SNSを規制するのはどうしても難しいので、既存のメディアが選挙中でもファクトチェックのようなことをやってもいいと思う。既存のメディアにもその人材はいますからね。ファクトチェックを厳しくやってくっていうことはひとつアイディアかなと思います。
小川彩佳キャスター:
ただ、その既存のメディアのファクトチェックを信じない人もいるのでは?
星浩さん:
アメリカでも、そういう現象がありました。ニューヨーク・タイムズが、熱心にそのファクトチェックをやるとだんだんとそれが定着して、ニューヨーク・タイムズはきちんと事実関係をチェックしてるんだというのが定着してきたという事実があります。
一気には難しいと思いますが、既存メディアを持ってるスタッフを活用してファクトチェックをしていくというのが一つ打開の糸口になると思います。
小川彩佳キャスター:
粘り強くやっていくということですね。エイトさん、この点どうご覧になりますか?

鈴木エイトさん:
今回のテレビとSNSの対立であるとか、「SNSがオールドメディアのテレビに勝った」というような指摘をしてる人も多いですが、私はそういうことではないと思います。
斎藤氏自身も、不信任決議後に多くの複数のテレビ局に出演して持論を展開するなど、既存メディアを最大限利用していました。元々知名度はそういう点では斎藤さんが高かったのですが、そのマイナスのイメージが高かったところをSNSによってプラスに変えた。SNSを手段として使いました。あくまで、SNSは手段でしかないんです。
小川彩佳キャスター:
手段というところで言いますと、SNSによって選挙への関心が高まったというところもあると思います。私達は今後SNSに、どう向き合ってどう情報に接していけばいいんでしょうか?
鈴木エイトさん:
やはり今回顕著になったのが、SNS上にデマや虚偽があったことが問題だと思います。どこまでSNSの効果があったのか、これは短絡的にSNSの勝利だと決め付けてしまわない方がいいと思います。やはり、しっかりとした分析が必要だと思います。
斎藤氏は、今回の選挙は「メディアリテラシーが問われた選挙だ」ともおっしゃっていました。けれども、逆にこれは「有権者のリテラシーが問われた選挙」だと思うんですよね。見る側が、情報を見極められるリテラシーとファクトチェックをするメディアの役割、ここが大事になってきます。
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<プロフィール>
鈴木エイトさん
ジャーナリスト 兵庫県知事選を現地で取材
旧統一教会問題を20年以上追及
TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん
1955年生まれ 福島県出身 政治記者歴30年