ハンセン病と診断され、これまで施設に入所していた90歳の女性が故郷の静岡県藤枝市に帰り、小学生を前に半生を語りました。差別と偏見が根強く残るハンセン病、女性は「伝える使命がある」と前を向きます。
藤枝市で生まれた山内きみ江さん(90)です。7歳の時にハンセン病を発症し、22歳で東京の国立療養所に入所したあと、地元へ帰る機会はほとんどありませんでした。
「こんにちは」
山内さんが学校で講演するのは初めてということです。
<山内きみ江さん>
「はずかしい」
山内さんは4年生から6年生約30人の前で差別や偏見に苦しんだ過去を話しました。
<山内きみ江さん>
「藁人形をこしらえて、『あれを米兵だと思って竹やりで突きなさい』、私は手が悪いので竹やりで藁人形を突けなかった。お尻から背中まで、血がにじむほど先生に殴られました」
ハンセン病は「らい菌」によって感染する病気で、手足の末しょう神経が麻ひすることで、痛みや熱い、冷たいといった感覚を失う症状があります。
<山内きみ江さん>
「5年生頃になると、ハンセン病ということを知らない、手が曲がり、足が麻ひし、生徒の中で私自身本当に肩身の狭い思いをしまして。開墾した手が剥けて血豆ができて、血豆が破れると血が出る。そうするとお友達に『汚い。そんな汚い体で』と言われました」
ふるさとの子どもたちにメッセージを送りました。
<山内きみ江さん>
「どんな環境であろうとも一生懸命学んで、偉くならなくてもいい、普通の人でいてほしい。不自由だけど人より劣りたくない、人より上になりたくない。普通の人でいいから頑張っている」
山内さんは子どもたちに素直に育ってほしいと繰り返し話しました。
<参加した児童>
「ハンセン病になって、いじめられている人はかわいそうだなと思ったし、ハンセン病になっても迎えてくれる人がいるんだなと教えてもらった」
<参加した児童>
「病気とか見た目で差別しない方が良いと思った」
山内さんは自身の経験を語り継ぐことが「使命」だとし、未来に伝えるために活動を続けます。