パズルや知育玩具として販売されている強力な磁石を子どもが誤って飲み込む事故が相次いでいます。これまでに胃や腸に穴が開く重大な事故も起きていて、国民生活センターが注意を呼びかけています。
■「マグネットセット」の購入は子どものいる家庭では控えて

今年6月、2歳の女の子が自宅で小さな磁石を組み合わせて様々な形を作る「マグネットセット」で遊んでいたところ、誤って磁石を複数飲み込みました。
「マグネットセット」は、3ミリから30ミリほどの小さなボールや立方体の磁石のセットです。小さなものだと200個程度を1セットとして、磁力を使って自由自在に形を作るパズルや知育玩具として販売されています。
女の子は無症状だったものの救急搬送されました。胃の中から磁石7個が繋がった状態で見つかったため、全身麻酔をした上で磁石を摘出したということです。このおもちゃの”対象年齢”は6歳以上でしたが、女の子は5歳のきょうだいと一緒に遊んでいて誤飲しました。

しかし、強力な磁力を持つ「マグネットセット」は、子どもの使用を想定したおもちゃではないとして、国民生活センターでは14歳未満の子どものいる家庭では購入を控えるように呼びかけています。
また、販売する業者に対しても、子どもの使用や知育玩具をイメージする表示をしないよう徹底を求めています。
消費安全調査委員会によりますと、強力な磁石を子どもが誤飲した事故は2021年までの5年間で10件起きています。3歳までの子どもが誤飲する事例が多いということですが、中には小学生が誤飲してしまった事例もありました。
国民生活センターではこれまでも繰り返し注意を呼びかけてきたものの事故が後を絶たないとして、14日付けで経済産業省に対し、マグネットセットが子どもの手に渡らないよう、対象年齢などについて、法令による規制を検討するよう求めました。
■「ネオジム磁石」を複数飲み込むと胃や腸に穴が開く危険も…

また、誤飲事故は小さな子どもが遊ぶ機会が多い「マグネットパズル」でも起きています。三角形や四角形などの枠の中に磁石が埋め込まれていて、立体を作ることができるおもちゃです。去年、2歳の男の子がパズルの枠が破損して外に出た磁石2個を飲み込み、腸に穴が開く事故が起きました。

これらに共通するのは、いずれも「ネオジム磁石」という強力な磁石が使われていることです。「ネオジム磁石」を複数飲み込むと、消化器官を隔てて互いに引きつけ合い、胃や腸に穴を開ける危険性があるのです。海外では死亡事故も報告されています。
国民生活センターは、万が一子どもが飲み込んだ場合には、すぐに症状がでるわけではないので、症状がなくても速やかに病院へ行くことが必要だとしています。