中間決算 業績見通しは?
――大統領選前にいろんな重要なデータが出てくることになる。その影響も含めて日本株、日本の市場がどうなっていくか。今月は多くの日本企業でも中間決算が発表されている。業績予想はどうなるか?

ニッセイ基礎研究所 井出真吾氏:
結論から言うと、今回の中間決算の発表のときに、通期の見通しを引き上げる企業が例年以上に多いと予想している。分析したデータを紹介したい。左側、期初要素から第1四半期決算時点の予想への変化。企業は期初年度初めに業績予想を出す。その後も3か月ごとの決算のたびに最新の予想を発表する。
第1四半期決算のときに上方修正見通しを引き上げた企業の割合、過去10年分の平均。全体の9.3%の企業が、第1四半期決算のときに見通しを引き上げた。この9.3%の企業について追跡調査すると、中間決算のとき、もう1回上方修正した企業が全体の3分の2ぐらいあった。非常に確率として高い。
――つまり上方修正できる企業は、その後も強い?
ニッセイ基礎研究所 井出真吾氏:
そういうことだ。このタイミングは第1四半期決算のときだからまだ残り9か月ある。残り9か月もあるのに見通しを引き上げるということは、相当順調もしくは先行きにも自信を持っていることの表れ。でも第1四半期に全部を出し切るのではなく、出し惜しみというか若干慎重な上方修正。3か月経ってみるとやはり順調ということで、もう1回引き上げると2段階アップということになる。

ニッセイ基礎研究所 井出真吾氏:
そして今年はどうだったかというと、9.3%だったのが今年は14.4%。例年の1.5倍以上見通しを引き上げた企業が多かったということ。このうちの3分の2もしくはもっと多くの企業が今回見通しを引き上げる可能性が出てきている。
実際今週発表した主要企業、ニデックは上半期の営業利益が過去最高を更新している。ファナックも会社側からは減益見通しが発表されていたが、今回、一転して増益見通しに変わっている。背景には、やはりアメリカの景気が底堅い。それから中国も調子は良くないが底割れしていない。あとは為替が一旦140円ぐらいいったが、また150円ぐらいで推移している。それも背景にあると思う。なので例年以上に、今年は見通しを引き上げる企業が多いと思う。十分期待していいと思う。
――直近で見ると政治の不透明感などで株価が動いてしまうが、企業それぞれの実力を見てみると今年はこれまでと比べても強いのか。
ニッセイ基礎研究所 井出真吾氏:
このままいくと日本企業全体としては、4期連続の過去最高益更新がもう十分射程圏内に入ってきた。株価は短期的には政治などで揺れ動くが、最後はやっぱりファンダメンタルズに収れんする。

――そして為替の話も出たが一時期140円前半まで円高になっていたが、また150円台に今なっている。
ニッセイ基礎研究所 井出真吾氏:
「輸出企業の想定為替レート」。業績計画を組む前提になっている為替レートだが、企業によってばらつきがある。中には1ドル150円を超えるような円安を想定している企業もある。ところが、全体の8割は150円までの円高方向。ほとんどの企業が円安の恩恵を受けやすい。
――83%の輸出企業は今もう、恩恵を受けている。
ニッセイ基礎研究所 井出真吾氏:
業績面で少し追い風が吹いている。企業によっては強い追い風が吹いている。155円の時期と比べたら追い風は少し弱まったが、まだ全体としてはそれなりの追い風が吹いている。業績の見通しを上方修正する材料はアメリカの景気以外にもある。