AI技術に不可欠“大量電力”どうする?

藤森祥平キャスター:
世界で原発を巡る動きが活発になる中、日本でもそうした動きが見られています。現在稼働中の原発がある福井県の高浜原発の高浜町では、10月中にデータセンターが完成する予定です。高浜原発に隣接している京都府の舞鶴市には、データセンターの建設に向けた土地の視察や問い合わせが来ているそうです。

鹿児島県の仙台原発がある薩摩川内市にもデータセンターの建設に向けての問い合わせが、日本企業から4~5件ほど来ている現状だそうです。

北海道の泊原発は、現在停止中ではありますが再稼働するかの議論が進められています。北海道には次世代半導体の製造を目指している「ラピダス」の工場、データセンターの新設も見込まれており、電力需要が増加する見通しです。

エネルギー経済社会研究所の松尾代表の試算です。2030年代半ばの電力需要は、新設されるデータセンターや半導体工場の電力が加わるため、供給力を大きく上回り、電力が足りなくなってしまいます。今後は新たな火力発電の稼働も予定される中で、仮に泊原発が再稼働すれば、余裕を持って電力を賄うことができるという計算が立っているそうです。

松尾代表は、「安定的に供給できる脱炭素の電源として、原発の再稼働は非常に重要。ただ安全性の確保が大前提」とおっしゃっています。

小川彩佳キャスター:
AIなどの技術を支える電力をどう賄っていくのかという問題ですが、「原発が最適だ」と既成事実化しているような動きには、少し違和感を覚えるところもあります。

伊沢拓司さん:
北海道は再生可能エネルギーの可能性が非常に高いことと、AIデータセンターと再生エネルギーはすごく相性がいいんです。ちょうど先日、北海道大学でそのようなワークショップも開いたのですが、再生可能エネルギーのポテンシャルはありながらも、田舎の人口が少ないところでやるので、その場での需要は低く、運ぶコストがかかってしまいます。また、再生エネルギーは不安定なため調整が必要だったりと、様々な課題があります。

しかし、AIデータセンターは、都心に近い必要もなく、調整弁として機能することもできます。また、北海道は土地が広いので、データセンターも立てやすいです。現在の試算では、洋上風力発電などを全て稼働した場合は、泊原発よりも発電量が多いと言われています。時期や許可の問題などがあるので、原発が一概に不要と言えるわけではないですが、エネルギーミックスを、ただ単に原発の有無ではなく、様々な手段の中で原発を比較していく必要があると思います。

北海道というフィールドを考えるなら、再生エネルギーの可能性は、十分探れると僕は思います。

藤森祥平キャスター:
色々と考慮して議論していく必要がありますね。
原発の安全性について見てみると、元日に最大震度7を観測した石川県の志賀町の志賀原発は現在運転は停止中です。しかし、再稼働に向けた審査が行われている最中です。地震の後に、避難対象になる30km圏内の避難ルート32か所が安全対策のために設けられていましたが、通行止めになってしまいました。結果14の集落が孤立状態に。避難も計画通りにいかないことになりますね。

小川彩佳キャスター:
福島の原発事故以降、周辺の住民の安全をどう確保していくのかは、ずっと議論されてきましたが、改めて能登半島地震によりその避難計画に疑問符がつきました。また想定と異なる地震活動というのもあったわけです。安全対策が非常に難しいということが浮き彫りになりましたね。

伊沢拓司さん:
2030年までに、原発で20〜22%ほど、エネルギーミックスの中で担うというのが政府の方針です。その必要性はもちろんあると思いますが、リスクコミュニケーションは明らかに足りていないと思います。

どうして原発を作るのか、どういう安全計画が立てられているのか、実際こういった避難計画などの問題にどう対処していくのかという国民に向けた広報ができていないというのは、火を見るより明らかなことかなと思う。

エネルギーに関する議論だけではなく、広報戦略や、果たしてうまく運用できるのかというところも含め、選挙の争点にはなってくるのかなと思います。

小川彩佳キャスター:
増え続ける核のゴミにどう対応するのか、一向に解決策は見えていません。最終処分などについても、政治家の皆さんの言葉というのが必要になります。

私達の生活にも欠かせない電力ですが、今後どう安定的に確保していくのでしょうか。

藤森祥平キャスター:
衆議院選挙で各党が掲げているエネルギー政策について、私たちは原発の利用を中心に抜粋しました。

自民党
「再生可能エネルギーの最大限の導入、原子力の活用」
立憲民主党
「2050年までに原発に依存しないカーボンニュートラル」
日本維新の会
「次世代原発の活用推進」
公明党
「再生可能エネルギーの最大限の導入拡大」
共産党
「2030年度に原発と石炭火力ゼロに」
国民民主党
「原発の建て替え・新増設」
れいわ新選組
「原発は即時廃止、2050年までに再生可能エネルギー100%」
社民党
「原発ゼロ・自然エネルギー100%」
参政党
「行き過ぎた再生エネルギー推進を見直す」

化石燃料に頼らない電力を各党はどのように確保していこうとするのか、この公約の中に掲げられている限られた表現ではあるかもしれませんが、ぜひじっくりご覧になって判断材料にしてみてください。