「ふるさとを感じてもらう」取り組みです。
福島県双葉町は、町出身の18歳から20歳の若者に町を訪れてもらい、復興の歩みを見てもらうプロジェクトを開催しました。
花火大会やまち歩き・町民との交流を通して、ふるさと双葉は若者の目にどう映ったでしょうか。
双葉の夜空を彩る、大輪の花。
【廣田愛乃さん】
「すごいきれいですね」
特別な思いで見つめるのは、双葉町出身の廣田愛乃さん(20)です。
9月28日、双葉町で行われた花火大会。
東日本大震災の風化防止や地元の人たちの交流の場になることを目的に、福島煙火協会が企画しました。
この日はおよそ4500人が訪れるなか、全国的に有名な花火師による芸術玉や、双葉の人の思いを込めたメモリアル花火、そして能登半島の復興を応援するエール花火など1万発が打ち上げられました。
廣田さんも、地元の友人たちと一緒に花火を見上げます。
【齋藤あづさん】
「一緒に花火を見たり色んな思い出になることを出来てすごい楽しい時間」
【松枝莉里さん】
「本当に迫力もすごくて、東京にもたくさん花火あるんですけどそれに負けないくらいすごかったです」
【廣田愛乃さん】
「花火、本当に感動しました。すごく音楽も素敵だったし」
「こうやって花火とか積極的に人がいっぱい集まるような企画があるといいなって思います」
翌日、廣田さんの姿は町の海沿いにありました。
震災当時、ふたば幼稚園の年長だった廣田さん。
原発事故により一家で県外に移住し双葉町を訪れるのは3年ぶりだといいます。
帰省のきっかけとなったのは町が新たに企画した1泊2日の町内ツアー「ふるさとを、見ようプロジェクト」です。
【廣田愛乃さん】
「もうすぐ取り壊しになっちゃうふたば幼稚園を最後に見ておこうかなと思って参加しました。自分が作ったものや書いた絵もそのまま残っていて嬉しいような悲しいような感じですね」
廣田さんは現在、20歳。
双葉町ではこれまで「はたちを祝う会」を毎年行ってきましたが、近年、町内より避難先で過ごした時間が長い若者が増え式典へ出席する人数が減っていることから、今年度の会は中止が検討されています。
そこで、若い世代に双葉町への愛着を持ってもらいたいと考えられたのがこの企画。
ツアーには、双葉町出身で18歳から20歳までの19人が参加し、町内にある企業を見学したり、海辺を散歩したりしながらふるさとの今を目に焼き付けていました。
震災後初めて双葉の海を訪れたという廣田さんは…
【廣田さん】
「十何年も前でちゃんと覚えてるってわけじゃないんですけど、何回も遊びに来たっていうのは覚えていたり写真に残っていたりするので懐かしい」
またツアーでは、復興のシンボルでもある双葉ダルマの絵付け体験が行われたほか、双葉町の伊澤町長や町民たちと震災当時の体験を語りあう場も設けられました。
【双葉町・舘下教育長】
「同じ双葉町民だというのが一つですよね、我々のあの時(震災当時)の思いを言っても納得してくれるような。心と心の繋がりをちゃんと感じましたね」
1泊2日のツアーを終え参加者たちは、ふるさと双葉町に対しそれぞれの思いを抱いていました。
【松枝莉里さん】
「ずっと県外に住んでいたので地元意識はあまりなかったんですけど、この2日間を通して双葉の歴史だったり資産を学ぶことができて地元だなあという気持ちが芽生えました」
【新妻和樹さん】
「将来は双葉で教員として働けたらいいなと思っていて、復興の一助になればいいなと思います」
そして廣田さんにも、自身が大学で学んでいる美術を活かして双葉町に貢献したいという思いが芽生えました。
【廣田さん】
「やっぱり戻ってくる場所なのかなと思いました。デザイナーとかそういう働き手としてここに戻ってこられたら嬉しいなと思っています」
双葉町では、今後も若い世代に復興の様子を伝え町に愛着を持ってもらうために、このツアーを継続していきたいとしています。














