天城先生オリジナル手技

遡ること2話、3話で天城雪彦先生は内胸動脈を肋間動脈と吻合する(原作では左右の内胸動脈を吻合する)ことで、内胸動脈の血流を保ち、もし再度ダイレクトアナストモーシスが必要となっても使用できるように保護していました。

これはリアルではやらない手技で天城先生オリジナルのものです。雪彦先生が次のダイレクトアナストモーシスのために行っていた手技を司先生も行っていたということになります。Xでもポストしましたが、強い思いというものは伝わるし、優秀な外科医の発想は時に全く同じ手技に行き着くものです。

司先生が雪彦先生に託し保護したグラフトにより、天城先生は悪魔的精緻を極めた手技で前人未到のダイレクトアナストモーシス3カ所を光の速さで成し遂げます。ギリギリのところで心臓は復活を遂げるのです。最後のオペはまさに執念。天城先生が人生で1番大切なものとして挙げた絶対に諦めないという執念でオペは成功するのです。

一方、世良先生はスナイプが僧帽弁に到達せずに苦戦していました。成人よりも心臓が小さいため、左心室の筋肉に引っかってしまっていたのです。黒崎先生がクロックに回してみたら、と言ったのは時計周りに回転してみたらどうだということです。それでも進まず心筋に引っかかり危険な不整脈が出てしまっています。

そこに敵役であった菅井教授がアドバイスをします。1cm程一旦引いて、方向を変えて進めたらどうだと。見事にスナイプは進み世良先生は僧帽弁置換術を成功させます。

黒崎先生が去った後、運が悪いことに心筋梗塞が起こってしまいます。以前も解説しましたが、STが上昇するとは心電図における心筋梗塞のサインです。冠動脈瘤にあった血栓が冠動脈に本格的に詰まってしまったのでしょう。緊急バイパスが必要となります。

世良先生はすぐに天城先生に相談。「こんな時、渡海先生ならどうするんだろう?」という問いに「どんな状況であれ患者を1人も死なせることはありませんでした」と答え、天城先生に火をつけます。

高階先生のエルカノダーウィンによりバイパスは無事終了(実はよく見ると瘤の処置も終えているんです)し結衣ちゃんの手術は成功します。

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イムス東京葛飾総合病院 心臓血管外科 
山岸 俊介

冠動脈、大動脈、弁膜症、その他成人心臓血管外科手術が専門。低侵襲小切開心臓外科手術を得意とする。幼少期から外科医を目指しトレーニングを行い、そのテクニックは異次元。平均オペ時間は通常の1/3、縫合スピードは専門医の5倍。自身のYouTubeにオペ映像を無編集で掲載し後進の育成にも力を入れる。今最も手術見学依頼、公開手術依頼が多い心臓外科医と言われている。