今年も全国各地で凶暴化する「スズメバチ」。駆除を専門とするスズメバチハンターには依頼が殺到しています。ひるおびは多忙を極めるハンターに同行し、緊迫の駆除作業に密着。さらに、スズメバチの被害を防ぐ方法や、万が一刺された場合の対処法を研究者に聞きました。
■9月に“凶暴化” 都会でもスズメバチに注意

ハチに刺されて亡くなった方は、2011年~2020年の10年間で167人。
2022年8月にも、除草作業中の60代男性が刺され、救急搬送の後死亡が確認されています。
被害の時期は、8~9月が41.7%と、1年のうちで最も割合が多くなっています。

スズメバチ研究の第一人者 中村雅雄氏:
都会でも、大きな公園や、街路樹が多い場所などハチのエサが豊富なところにいる可能性がある。この時期はより注意する必要がある。
弁護士 八代英輝:
皇居をジョギングしていても、出会うことがあります。追いかけてくるんですよ。
スズメバチは9月に“凶暴化”します。8月下旬から10月上旬にかけて、新しく誕生した女王蜂を外敵から守るために攻撃性も警戒心も高まっているのです。
■高さ1メートル!巨大ハチの巣を作る「キイロスズメバチ」

ひるおびは駆除の現場を取材しました。
ハチ専門の会社「みどり産業」。年間駆除件数は930件を超えます。
ハンター歴40年以上 みどり産業 田迎真人氏:
今年はキイロスズメバチの依頼が例年の約1.5倍。相談も多い日で10件ほどある。

「キイロスズメバチ」は、体長1.8~2.4センチ。攻撃性はかなり強く、巣の規模はスズメバチの中で最大級です。

8月30日、茨城県のゴルフ場から駆除の依頼を受けたハンターに同行しました。
樹木の内部に巨大な巣を作ったキイロスズメバチの大群に、凄腕ハンターも大苦戦。

掃除機の吸引では間に合わず、煙幕で中のハチを気絶させ、チェーンソーで木を切り開いていきます。

激闘1時間20分。駆除された巣は9段で、高さおよそ1m。この大きさは今季最大級ということです。ハチの数は約1500匹でした。
スズメバチは、自然がある場所だけではなく、意外なところにも巣を作ります。

埼玉県の住宅では、雨戸と窓ガラスの間に、いつの間にか巣を作っていました。
家主によると、長期間窓を開けず、カーテンを閉めていたため、巣を作られていることに気がつかなかったということです。

なぜキイロスズメバチが例年より増えているのか。
今年は例年と比べて春先が暖かい傾向にありました。中村氏によりますと、春先が暖かく、エサが豊富にあったため働きバチが早くに活動を開始。それにより例年より数が増加したのでは、ということです。これは他のスズメバチにも言えることです。
■最も危険な「オオスズメバチ」住宅街近くの公園にも

オオスズメバチは、体長が2.7~3.8センチで、世界最大のスズメバチです。攻撃性・毒性が極めて強く、土や木の中に巣を作る習性があります。

オオスズメバチの針の長さは約6ミリで、防護服や手袋も貫通してしまいます。

埼玉県の江戸川広域運動公園で8月31日に駆除されたオオスズメバチの巣は、人目につきにくい木の根元に潜んでいました。巣は約40センチ、4段の大物でした。
江戸川広域運動公園管理事務所 吉田正弘氏:
想像していたより大きかった。
事故が起こる前に素早く駆除してもらえて本当に助かりました。