“補助金の見返りにパレードの寄付金を募った”とA氏は告発「司令塔は片山副知事」

A氏の告発文には2023年11月に兵庫県と大阪府の合同で行われた阪神・オリックスの優勝記念パレードについても書かれている。運営費用には、公費を投入しない方針が打ち出され、すべて個人や企業からの寄付金でまかなわれたのだが…

告発文
「信用金庫への県補助金を増額し、それを募金としてキックバックさせることで補った。具体の司令塔は片山副知事」「パレードを担当した課長はこの一連の不正行為と大阪府との難しい調整に精神が持たず、うつ病を発症」

企業からの寄付金集めを担当していた課長は、その後亡くなっている。

元職員が寄付金集めの当時の状況について話してくれた。

元県庁職員
「寄付が全然集まらない、大変だ、という話は言われていて、どないするんやろう?と思っていた」

県はパレード後も寄付を求め続けたが、状況は突然変わったという。

元県庁職員
「『プラスにかたが付きそうや』と。ポンとお金が出るわけがない。なんかするんやろうなと感じた」

当時、県は中小事業者を支援した件数に応じて、金融機関に対し支払う補助金の予算化を進めていた。A氏は、この補助金の見返りに金融機関からの寄付金を募ったと告発したのだ。

この補助金の予算は当初、約1億円の方針だった。

しかし、その後、片山副知事から4億円程度に予算を増額するよう口頭で指示されていたことが内部文書で判明している。パレードの約1週間前の出来事だ。

パレードの寄付金の受付時期を記した内部文書がある。ここにも不可解な点があった。

パレード前に寄付を申し込んでいた金融機関は2社のみだったにもかかわらず、パレード後になって11社も増えている。

300万円の寄付をしたという信用金庫の幹部は…

信用金庫の幹部
「片山副知事が本店に来られて『資金が不足しているので、改めて協賛(寄付)をお願いできませんか?』と。メリットなんて考えていません。地域の金融機関として協力しました」

私たちは、寄付をしていて、かつ補助金を受ける予定の13の金融機関へ質問状を送り、8社から回答を受けた。そのうち県から直接依頼されたケースは3社あったが、8社すべてが寄付金と補助金の関係性を否定した。

一方で、ある信用金庫の関係者から、こんな証言も得た。

信用金庫の関係者
「副知事から『寄付金が足りてないのだが、赤字を出す訳にはいかない。寄付できないか?補助金はしっかり出しますんで』と言われたそうだ。そう言われたら数百万の寄付は断れない。キックバックというより、補助金で釣られた」

片山前副知事に話を聞こうと自宅を訪ねた。庭先に出ていたが、記者の姿を見ると中に籠り、そのまま応答することはなかった。