暴追運動のリーダー宅に銃弾

野口さんのように「暴力団に屈さない」という暴追の機運が高まる中、暴追運動のリーダー宅に銃弾が撃ち込まれるなど、工藤会側の反発もありました。

当時、暴追運動の中心メンバーとして活動していた男性は、市民の声を暴力でねじ伏せようとした行動がかえって運動を加速させたと振り返ります。

暴追運動に参加していた男性「そういうことで怯むこともないし逆に増えました。暴追の集会に参加する人が、550人から650人に、100人増えたからね。子供や孫たちを守ってやらないといかんということで、みんなが出てきているからね」

当時の捜査の指揮官は

当時、福岡県警で捜査の指揮をとった尾上芳信さんは、新たな被害者を出さないよう組織のトップらを検挙することに注力していたと話します。

福岡県暴力追放運動推進センター 尾上芳信 専務理事「テロともいえるようなこのような事件を止めるためには指示をしている総裁の野村、会長の田上の身柄を押さえ長期刑に持っていかないと。これまでやってきていない捜査手法も含めてどうやって事件を検挙していくか知恵を絞りました。」

「鉄の結束」を切り崩し、組織内部から得られた証言などの状況証拠を積み重ね、ついに「そのとき」が訪れます。

工藤会トップを逮捕

RKB 青木周作カメラマン「工藤会最高幹部の自宅前には大勢の捜査員がいます。傘でよく見えませんが、最高幹部はたった今、福岡県警の車両に乗り込んだと思われます」

10年前の9月11日、警察は工藤会総裁の野村悟被告(77)を逮捕。

2日後にはナンバー2・田上不美夫被告(68)も逮捕しました。

福岡県暴力追放運動推進センター 尾上芳信 専務理事「安堵するというよりもここまでやって来たという達成感というか、これで北九州の平和を取り戻せるんじゃないかという感慨深い思いもありました。」

4つの事件に関与したとして起訴され、殺人などの罪に問われた野村被告に対し、1審の福岡地裁が言い渡したのは、死刑。

控訴審では一部の事件について無罪とし、無期懲役判決となりました。現在も係争中で、ナンバー2の田上被告とともに、収監されています。