Qどうでした、メダルをかけたとき?
「すごく重く感じました。めちゃくちゃ今までの思いが詰まっていて」
「本当にやっとだ、うれしいより、わあ良かったと」

6月のタンブリングのワールドカップで日本人初のメダル、銅メダルに輝いた静岡産業大学4年の又吉健斗(21)。タンブリングとは、スプリングの入った25mのボードの上で8つの技を実施する採点競技です。

彼が会心の出来と語ったのが、7月のワールドゲームズ。非五輪競技で、4年に一度の世界最高峰の舞台でした。

準決勝にあたる決勝1では、国内で又吉にしかできない技、『伸身2回宙返り3回ひねり』に成功。美しさや正確性を評価するEスコアは自身最高にして、出場選手中トップの「18.900」をマークし、日本人過去最高の4位入賞を果たしました。

又吉健斗選手
「過去イチやっていて気持ちが良くて、あの演技は自分でも震えました、鳥肌が立った着地した瞬間に夢の中にいるような感じで、なかなか着地した瞬間ここから動きたくないっていうぐらい、歓声といい自分の演技の完璧さといい、幸せすぎましたね、あの瞬間は」

小学校2年生の又吉選手
「オリンピック選手になって金メダルを取りたいです」

幼いころから目標は、世界の舞台。6歳から体操をはじめ、トランポリンで空中動作を磨き
小学6年のときタンブリングに出会いました。

高校からは、沖縄を離れ静岡でその技をさらに磨いた又吉。2019年、19歳にして世界シニアデビュー。そこから日本のトップに立ち続ける21歳はこの1年、プレッシャーと戦い続けていました。

又吉選手
「まあやっぱり笑顔が消えましたね、僕の武器は笑顔なので、それが無くなったときになんのためにタンブリングをしているのかなって思っちゃって。周りからは普通にやれば(世界大会に)健斗が出られるって言葉が苦しくて、逆に不安になるというか、チャレンジャーでいられなくなる、僕はチャレンジャーでいたいタイプなので、攻める演技が武器なんですけど」
「本当に自分のためじゃなくて、人のためとか日本のために演技していることが多すぎて、ちょっと苦しくなっちゃって」

そのつらさは『今季での引退』を意識するほどのものでした。でも最後のシーズンという覚悟があったから“全てを出し尽くす”と臨んだ世界戦。ワールドゲームズは、実は予選のとき着地に失敗し、歩くのにも痛みが出る状態でした。

又吉選手
「なんか雑草魂じゃないですけど、自分はこんなもんじゃないだろうって言い聞かせて、気持ちだけで演技しましたね。(痛み止め)飲んでも効かないですし、テーピングをがちがちに巻いてもダメだったので」
「(準決勝・決勝1は)あえて難度を落としてやる選択肢もあったんですけど、『絶対やらせてください』って言って、足が砕けても取れても、競技ができなくなってもいいから、今を戦わせてくださいっていうのは、監督やトレーナーにお願いして」

そうして磨き続けた大技「伸身2回宙返り3回ひねり」を成功させました。

又吉選手
「ひたすらにやりましたね、ひたすらその技を練習したし、感覚競技なので狂ったりすることもあるんですけど、それでもやりましたね。この技だけは逃げたくないと思ったので、絶対得意にしようと思って一番怖い技だったんですけど、今は一番好きな技です」

世界で結果を出し続ける今シーズン又吉にはもう一つ、11月の世界選手権が残っています。

その決意は…


又吉選手
「世界選手権はさらにいい成績が残せる気しかしていないですね今は。まだファイナルに日本人は残っていないので、やっぱりそこに残ることが一番ですね。その先にメダルとかチャンスがやってくると思うので、明日引退ってなっても後悔はないですってぐらい、毎日毎日必死にやってきているので、ぶっ倒れるまで自分が無理って思うまでは走りたいと思います」