夫・孝幸さんとの出会い 交際するまでに出会ってから13年

福岡工業短期大学時代。アルバイト先で、先輩として働いていたのが未来の夫・孝幸さんだった。福岡県新宮町にある釜めしなどが人気のレストランで、2人ともホール担当として働いていた。

出会ってすぐに、孝幸さんから道下選手への猛烈なアプローチが始まった。

「当時はそれほど悪い気はしなかった」と笑顔で話す道下選手だが、結局2人は付き合うことなく、卒業してからはお互い疎遠になっていった。

そんな2人に変化があったのは、卒業してから8年後。

突然、孝幸さんが道下選手の両親が営んでいた書店を訪ねてくる。道下選手に再会した孝幸さんは、いきなり「結婚を前提に付き合ってください」と交際を申し込んだ。

孝幸さんは当時を振り返り、「8年経っても気持ちは全く変わっていなかった。再会してやっぱり好きだという思いを確認できた」と話す。

道下さんは、「戸惑いながらもなぜか少し嬉しかった」というが、一方で「このまま目の病気が進行して生活が変わっていくと、2人で一緒にいても楽しくなくなるのではないか」という思いが湧いてきた。

結局、突然過ぎるということもあって、丁重にお断りしたのだった。

「人生で一番好きな人と結婚できるなんて・・・」

しかし、それで諦めないのが孝幸さん。「もっと考えていることや不安を理解したい。これからの生活を支えたい」と、視覚障がいに関する本をたくさん読みこみ、役所に足を運び、生活で必要な事などアドバイスを求めた。

再会してから4年後。ようやく孝幸さんの熱意が伝わり、ついに2人の交際が始まる。道下選手が31歳、孝幸さんが32歳の時だった。

そこから1年も経たずに自然と結婚を決めた2人。結婚直前に2人で旅行したのが、今回のパラリンピックの舞台であるフランス・パリだ。

旅行中、道下選手から改めてプロポーズの言葉を求められた孝幸さんは、凱旋門の屋上で、「人生で一番好きな人と結婚できるなんて本当に幸せです」という言葉を贈った。

夫・孝幸さんと 結婚式

2010年1月17日、ふたりは福岡市内で結婚式を挙げた。