被爆を体験しているのに、被爆者ではない「被爆体験者」

上村彩子キャスター:
ここからはおよそ4年にわたり、被爆体験者の方々の取材を続けるNBC長崎放送の古川記者に加わっていただきます。

被爆体験者の方々の訴え、近くで取材をして聞いていて、どのようなことを感じましたか。

NBC長崎放送 古川恵子 記者:
おかしいことを「おかしい」といくら言っても通らない、それに疲れ果てているという印象です。

おかしいことの一つに、「被爆体験者」という名前も挙げられると思います。被爆を体験している者なのに、被爆者ではない。これは混乱して、皆さんをわかりにくくしていると思います。

「被爆体験者」と「被爆者」が一番異なることは“原爆の放射能の影響が認められているかどうか”です。

国は被爆体験者は放射能の影響はないとして、「精神疾患者」として扱っています。被爆体験者手帳をとれば、精神疾患に関わる病気に関して、医療費の助成を受けられますが、この手帳を取るには、少なくとも年1回、精神科を受診しなければなりません。

様々な病気が「心の問題」だとされていることに傷つき、憤っている方は多いです。これに広島との差別が拍車をかけていると思います。

喜入友浩キャスター:
そうした状態がもう何十年も続いています。そうした中で、岸田総理が8月9日、被爆体験者と初めて面会し、「合理的に解決できるよう指示をする」と発言をしましたが、その直後、退陣を表明しました。

当事者の皆さんはどう受け止めてるんでしょうか?

古川恵子 記者:
「はしごを外された、でも信じたい」そういったところだと思います。

ただ、岸田総理が「解決」ではなく「合理的に解決」という言葉にしたのは、どういう意図があったのかよくわかりません。どういう解決に持っていこうとしているのか。指示された厚労省も9日の判決内容を注視していると思います。

上村キャスター:
その判決は被爆体験者の方々にとってどのような意味を持つんでしょうか?

古川恵子 記者:
被爆体験者の方々は過去、最高裁まで争って敗訴しています。

前の裁判では、556人いた原告のうちおよそ200人の方が既に亡くなられました。再提訴した44人のうち4人の方も亡くなられています。多くの原告の方が体力的にこれ以上裁判を続けるのは難しいとしています。

少なくとも広島と同様の救済が実現すること、そして非人道的な被害の一つとして、放射性微粒子による内部被ばく、これに向き合う契機となる判決となることを期待したいと思います。

上村キャスター:
戦後79年被爆体験者の方々ももうご高齢になってきています。日本は唯一の戦争被爆国です。どのような判決が下されるのでしょうか。

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<プロフィール>
古川恵子 記者
NBC長崎放送 記者 長崎市政担当
被爆者・被爆体験者・カネミ油症を継続取材