上杉会長の入院
上杉会長の手術を天城先生は行うこととなったのですが、予定手術の前に急変してしまいます。
上杉会長は元々ダイレクトアナストモーシスが必要な患者さんですので、狭心症(冠動脈が狭い)を患っています。この患者さんが急変するということは、狭心症が悪化するか、冠動脈の狭いところが詰まってしまい急性心筋梗塞になってしまうということです。
心臓の筋肉に血液が行かなくなると、心臓の動きは悪くなりギュッと縮まることが出来なくなってしまいます。そうすると心臓の部屋は大きくなり、中の扉(弁)が閉まらなくなって逆流してしまうのです。部屋が大きくなると扉の枠も大きくなってしまい扉がしっかり閉じませんよね。全く同じ状況が心筋梗塞になると起こる場合があるのです。
手術が始まる前の心エコー検査で上杉会長が僧帽弁閉鎖不全症となっていることに世良先生は気付きます。ここで佐伯教授が佐伯式で僧帽弁を治療しようとするのですが、留まります。これは判断としてはあり得る判断です。
心筋梗塞の状態ですと心臓の筋肉は非常に脆くなってしまい、また心臓の機能は非常に悪くなってしまいます。この状態でバイパス手術や僧帽弁の手術をすると、返って状況が悪くなってしまうことがあるのです。
非常に専門的で施設により方針は異なるのですが、佐伯先生は心臓の状態を見て薬物治療に切り替えるという判断をしました。
今回は猫田さん(先生)と渡海先生の師弟関係が随所に描かれており、台本を読んだ段階で泣けてきました。猫田先生には早く海外から戻ってきて欲しい。
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イムス東京葛飾総合病院 心臓血管外科
山岸 俊介

冠動脈、大動脈、弁膜症、その他成人心臓血管外科手術が専門。低侵襲小切開心臓外科手術を得意とする。幼少期から外科医を目指しトレーニングを行い、そのテクニックは異次元。
平均オペ時間は通常の1/3、縫合スピードは専門医の5倍。自身のYouTubeにオペ映像を無編集で掲載し後進の育成にも力を入れる。今最も手術見学依頼、公開手術依頼が多い心臓外科医と言われている。