インド外相「日系企業の理解は時代遅れ」アップデートが課題

ちなみに、ジャイシャンカル外相は妻が日本人で、在日インド大使館での勤務経験もあり、「知日派」として知られている。来日した際の会見では、日本について「投資を急速に増やすことが目標だ」と話した上で「1400社の日系企業がインドで活動している。この数を増やしたいと考えている」と意欲を示した。ただ、インドに進出した日系企業の数は2018年に1400社を超えて以降、横ばい状態が続いている。

日系企業の誘致が進まない理由について、インド経済に詳しい専門家は、法制度の運用に不透明な点が多い、州レベルの権限が強く、土地の取得や許認可などをめぐって手続きが複雑で難しいという課題をあげた。また、日系企業の関係者からは「インドでの駐在生活は大変」とぼやく声も聞かれる。

記者が「日本にはインドへの投資をためらう空気があるが、投資促進のためにどのような取り組みが必要だと考えるか」と問うと、ジャイシャンカル外相から「日系企業のインドについての理解は少し時代遅れだ」との答えが返ってきた。「この10年、毎年平均8つの空港が建てられ、約30キロメートルの高速道路が毎日作られている」とし、「10年前のインドではないし、20年前のインドとは大違いだ」と強調。「どうすれば日本の企業の方たちの理解をアップデートできるか、これが私が目指すところだ」と真剣な眼差しで訴えた。

自国の成長のために日本とのさらなる連携強化を目指すジャイシャンカル氏は今後日本を含む各国との関係をどのように構築し、インドの地位を世界で確立させていくのか、動向を注視していきたい。