海外赴任先のタイで過重労働の末に精神障害を発症し、 自らの命を絶った富山県出身の男性がいます。亡くなる直前に書いた日記には父親への遺書とみられる記述も。男性の母親は、息子のように海外で過労自殺する人を出したくないと会社に改善策を求めています。

息子が過労自殺 上田直美さん「生きていれば31歳です。その大事な未来が奪われたことは悲しさ以上に悔しいとしか言えません。従業員には一人一人大事な家族がいることを忘れないでほしいです。そして元気だった息子を返してください」

富山県内に住む上田直美さん。海外で過労自殺した息子の遺族として8月3日、大阪市内で悲痛な胸の内を語りました。

上田さんは3年前、タイで働いていた当時27歳の息子、優貴さんを亡くしました。

上田直美さん「社会人になってもラインのやりとりで、コロナはやってるけど大丈夫とかっていう感じで気遣いもしてくれて。名前の通り優しい子でしたね」

優貴さんは大学院で電気工学を専攻し、「環境と電気をつなぐ仕事がしたい」と2018年、大阪市に本社がある日立造船に入社しました。

日立造船は世界各国にごみ焼却発電プラントを納入しているグローバル企業で、優貴さんは2021年1月、タイのプラントに赴任。

初めての海外勤務で、電気設計業務を担当していましたが、3月半ばから専門外であるプラントの試運転に従事しました。

事前の研修はなく、業務時間も増える中で上司からミスについて厳しい叱責を受け、4月末、高さ30メートルの地点から転落し、亡くなったといいます。

上田直美さん「5月1日に会社の方から電話があって、『昨日息子の優貴さんが現場の方で転落して亡くなられました』という…、なんか頭が真っ白になって。いつか夢から覚めるんだろうと…」

上田さんの弁護団によりますと優貴さんの残業時間は亡くなる直前の1か月間で149時間に上っていたということです。

優貴さんが亡くなる直前に書いていた日記があります。タイトルは「一日三行ポジティブ日記」。