花巻市の住宅地の一角に、かなり太い土管をタテに置いたような奇妙な建造物が置かれたスペースがあります。

見ると、土管のような円柱の周りにはレンガが張り付けられています。
これはいったい何か。
公園の中に、その機能を説明する表示板がありました。
この建造物の名前は「花巻防空監視哨聴音壕跡」。
昭和17年にこの場所につくられました。
現在はおよそ3メートルの高さの哨聴音壕がむき出しの状態で置かれていますが、作られたころにはそのほとんどが土に埋もれ、上には茅葺きの屋根ががかけられていました。


その役割は、空襲のために飛行機が接近していることをいち早く察知することにありました。
哨音壕の中にいた兵隊はひたすら外部の音に耳をすませ、飛行機の爆音が聞こえると急いで陸軍部隊に電話で知らせていました。

聴音壕のすぐ脇には「アメリカではすでにレーダーが開発されていた同じ時期、日本は人の耳を頼りに情報を得ていた。日本の設備技術が遅れていたことがわかります」と書かれた看板が設置されています。



終戦から79年。聴音壕跡は「自分たちの町にも戦争があった」ということを今に伝え、戦争の愚かさを今に伝え続けています。