ハンセン病や薬害エイズ訴訟で患者とともに長年闘ってきた徳田靖之弁護士が新しい著書を出版しました。コロナ禍のいま、感染症に対する差別をどう克服していくか警鐘を鳴らしています。

徳田靖之弁護士:
今はクラスターが起こっても批判する人は誰もいない。感染がこんなに広がったから、つまり自分も感染するかもしれないという立場に立ったら感染者を差別することがどういうことなのかわかる」


今年で弁護士活動54年目を迎えた県弁護士会の徳田靖之さん(78)は隔離政策が取られたハンセン病や薬害エイズなど国を相手にした訴訟で、弱い立場にある被害者の救済に尽力し勝訴に導いてきました。

徳田靖之弁護士:
ハンセン病にかかってしまって家族と引き裂かれて社会から誰も相手にされないような状況に置かれて、そういう人たちの生きるということの意味というか私なんかとは比べ物にならない。そういうなかで身につけられた人間としての優しさとか強さを教えられ育てられた経過だった


今回出版した「感染症と差別」は感染症であるハンセン病や薬害エイズに対する差別の歴史や現状を検証。コロナ禍のいまも同じ過ちを繰り返しているとして新たな差別や偏見に警鐘を鳴らしています。

徳田靖之弁護士:
コロナウイルスの感染が拡大している中で「隔離」という言葉を平気で使うわけで、エイズとかハンセン病の教訓が少しも社会にいかされていない。どうすべきなのか皆さんに問うてみたいと思った


徳田さんは感染者を「危険な存在」だとみなすことが差別や偏見を生むことにつながると指摘。正しい認識を持ち、私たち1人ひとりが問題に向き合うことの大切さを訴えます。

徳田靖之弁護士:
感染者を守っていく、励まし支えていくことが実は感染症と闘う上で一番大事なこと。偏見・差別をなくすためのキーワードは感染者は社会をあげて守るべき存在ということをどれだけ多くの人が自分の考え方を身につけるかにかっている