斎藤幸平さん「G7のやり方はある種のダブルスタンダード」
山内あゆキャスター:
斎藤さんは、この長崎の対応をどう思いますか?

東京大学准教授 斎藤幸平さん:
二つやり方があると思います。
一つは戦争についての悲惨さ、核の悲惨さを考えるうえで、イスラエルも呼ぶ。そして、そうやるのであれば、ロシアも呼ぶ。核の本当の悲惨さ、戦争の悲惨さを『みんなで考える場にする』ということです。
あるいはロシアを呼ばないのであれば、同じような理由から、今回のようにイスラエルを呼ばない。それはやはり一貫していると思います。
なのに今回のG7のやり方は、ある種のダブルスタンダードです。「イスラエルはいいけれど、ロシアはちょっと…」というのは、まさに今、グローバルサウスなどからも批判されている点です。
もう一点指摘しておきたいのは、アメリカという国には、出席する・しないと勝手に判断する権利はありません。やはり原爆を落とした加害者なわけですから、今回の判断に関して、私は非常に残念だと思います。
山内キャスター:
長崎市長は、紛争当事者だからこそ個人的には呼びたい、呼ぶべきではないかと言っていましたが、G7の旗の数などを見ても、やはりパワーがすごくアンバランスですよね。イスラエルに対する方とパレスチナ側との、力の不均衡を感じます。
東京大学准教授 斎藤幸平さん:
ただ、私たち自身がこの問題の難しさについて改めて考える、いいきっかけにはなったと思います。
山内キャスター:
もう少し私も勉強しようという気持ちになりました。
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<プロフィール>
斎藤幸平さん
東京大学 准教授 専門は経済思想・社会思想
著書『人新世の「資本論」』50万部突破