8日、父島付近で発生した台風5号。当初は予報円の中心を通ると三陸沖の海上を北上する予想となっていましたが、進路予想が更新されるたびに次第に西寄りのコースに変わってきました。

9日正午の進路予想では、11日(日)以降の進路が大きく西に傾き、予報円の中心を通ると12日(月)頃に東北地方太平洋側を直撃するような予想となっています。

過去に東北地方に太平洋側から上陸した台風は、岩手県に上陸した2016年8月の台風10号と、宮城県に上陸した2021年7月の台風8号の2つがありますが、前者の台風10号と似たようなコースをたどりそうです。

2016年台風10号の経路図(気象庁HPより引用)

2016年の台風10号では特に岩手県で記録的な大雨となり、岩泉町の高齢者福祉施設で9人が死亡する被害が出ました。

また、台風5号は当初の予想よりも発達が早く、すでに暴風域を伴っています。10日(土)正午には最大風速35メートルの「強い」勢力となる予想です。宮城県沖の海水温は平年より4度前後高い27度くらいあるため、台風5号は海から大量の水蒸気の供給を得て、その後あまり勢力を落とさずに上陸することも考えられます。

8月7日現在の海面水温の平年差(気象庁HPより引用)

【風】11日(日)に東北地方太平洋側で予想される最大風速は海上で18メートル、陸上で15メートル、最大瞬間風速は陸上・海上ともに30メートルで、その後、12日(月)にはさらに強まり非常に強い風が吹くおそれがあります。仙台管区気象台は、12日(月)の宮城県東部について、警報級の暴風と高波になる可能性をともに「高い」としています。

【雨】警報級の大雨になる可能性は11日(日)と12日(月)について東部・西部とも「中」程度となっていますが、コンピューターのシミュレーションでは記録的な大雨になる可能性も示唆されています。

この図は12日(月)午後3時までの24時間に予想される雨の量を表したものですが、多い所では300ミリ前後の表示となっています。宮城県内の主要地点における過去の24時間雨量の記録は、

仙台:380ミリ(1986年8月5日) 石巻:231ミリ(2011年9月21日) 大崎市古川:239ミリ(2022年7月16日) 白石:357.5ミリ(2019年10月13日) 気仙沼:274ミリ(1986年8月5日)

となっていて、300ミリ未満の所もあります。台風の動きが比較的遅いことから、場所によっては過去の記録を上回るような大雨になるかもしれません。避難が必要になることも考えられます。今後の情報に十分注意してください。