「NO WAR プロジェクトつなぐ、つながる」です。太平洋戦争のさなか、山口県宇部市の海底炭鉱であった崩落事故では、183人の労働者が犠牲になりました。今も海底に眠ったままの遺骨を発掘するため、2つの取り組みがこの夏、動き出しました。
海の中に立つ2本の無機質な筒状の柱「ピーヤ」。この内部の暗い水中に潜る調査が先月末、行われました。
「ピーヤ」は、かつてこの場所にあった海底で石炭を採掘する「長生炭鉱」のもので、坑内の水や空気を排出する役割を果たしていました。
「長生炭鉱」は太平洋戦争中の1942年に坑道の天井が崩壊して水没。犠牲者のうち、136人が朝鮮半島出身者でした。
戦時中、需要が高まった石炭採掘のために無理やり連れてこられた人もいるといいます。
長生炭鉱の水非常を歴史に刻む会 井上洋子 共同代表
「直後に(炭鉱の入り口を)松の板で塞いだ。それがその日のうちとなっている」
「長生炭鉱の水非常を歴史に刻む会」は、海底に残されたままの遺骨発掘を日韓両政府の共同事業にすることを目指しています。
しかし、日本政府は「調査は現実的に困難」という立場です。
進まない状況を変えるため、遺骨があると思われる坑道に、「ピーヤ」から入れるかを探る潜水調査に踏み出しました。
まず、沖側の調査からです。
潜水調査は、1997年と2001年にも行われましたが、遺骨の発掘にはつながっていません。
今回の調査では水深27メートルの坑道の天井とみられるあたりまで潜水。そこに金属の構造物が積み重なっていることが確認されました。
調査協力を申し出た水中探検家 伊左治佳孝さん
「引き上げれば通れる可能性もあると思った。横穴(坑道)は生きてそう」
そしてもう1つ、坑道につながる入り口・坑口を開けようという取り組みにも着手しました。
会では独自に坑口の場所を調査していて、秋ごろ、地下4メートルに埋まっているとみられる坑口を掘り返す方針です。
「坑口を開けて、骨の一片でも見つければ、国はやらざるを得なくなると思っている。なんとかそういう状況を切り開いていきたい」
2つの入り口から可能性が探られる遺骨の発掘。
遺族は「必ず実現してほしい」と話します。
韓国遺族会(父親を亡くす) パク チョンイルさん
「大変な環境の中で連れて行かれて、どれだけ苦しく、大変な思いをしただろうか。慰めの言葉しかありません」
来年は、日韓国交正常化から60年目の年です。
長生炭鉱の水非常を歴史に刻む会 井上洋子 共同代表
「この遺骨をほったらかしにしたまま、未来志向というのは違うんじゃないか。戦争の被害者としてここにおられるわけだから、その方たちに日本政府は、責任ある態度、正義ある態度を示すべきじゃないか」
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