“偽情報”が暴動に発展しました。イギリスでダンス教室に参加していた3人が殺害された事件で、「犯人はイスラム教徒である」との“偽情報”が拡散され、暴徒化した100人以上が逮捕される事態となりました。
イギリス中部サウスポートの街角に手向けられた花束。先月29日、夏休みの子ども向けのダンス教室に男が押し入り、参加者をナイフで次々と刺し、6歳から9歳の女の子3人が死亡、大人を含む10人がけがをしました。
ダンス教室ではこの日、歌手のテイラー・スウィフトさんがテーマだったため、事件後、テイラーさんはSNSで…
テイラー・スウィフトさん(SNS)
「とてもショックです。ご遺族にどうお悔やみを伝えればいいのか、途方に暮れています」
BBCによりますと、逮捕されたのは東アフリカ・ルワンダ出身の両親のもと、イギリスで生まれ育った17歳の少年。犯行の動機は明らかになっていませんが、警察はテロとの関連を否定しました。
しかし、発生直後、容疑者の名前が明らかにされていない段階で、インターネット上では少年が「イスラム教徒」であり、「小型ボートで入国した移民だ」とする“偽情報”が拡散されたのです。
さらに、政治家まで…
リフォームUK ファラージ党首
「真実が隠されているのではないかと疑っています」
厳格な移民政策を掲げる右派政党の党首は、警察の発表を疑問視する発言をSNSに投稿。事件の翌日には、極右団体が主導したとされる移民に対するヘイトデモが起き、イスラム教の寺院であるモスクの一部や警察車両などが破壊されました。
住民
「ここで暮らすことに危険を感じる。これまで暴動など起きたことがなく、静かな地域で安心していたのに」
「暴徒の中にこの地域の人間がいたとは思えない。彼らは純粋にヘイトを煽るためだけにやってきた、いわば組織的な集団だ」
さらに、暴動はロンドンにも飛び火。暴徒化したデモ隊100人以上が逮捕される事態に発展しました。
これを受け、スターマー首相は、「これは抗議活動ではなく犯罪だ」と非難。偽情報が野放しにされたことが暴動を煽ったとして、ソーシャルメディア企業に対応を求めました。
“偽情報”の見分けがますます難しくなる今、各国政府も対応に頭を痛めています。
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