少しずつ「金利のある世界」に どう影響?

藤森祥平キャスター:
前回、片山薫記者が「0.25%引き上げ案」を紹介しました。振り返ります。

物価は年間1000円程度、押し下げる効果があるとみられています。

一方で、住宅ローンは4000万円のローンで年間3万円程度は支払額が増えるとみられています。(みずほR&T・酒井氏及びニッセイ基礎研・福本氏の試算)

そして、為替は150円台半ばで推移しているものが152円台くらいまで円高に進むと予想しました。ただ、31日夜は予想以上に円高が進みました

片山薫 記者:
30日夜は1ドル=154円台でした。深夜に「日銀が利上げするかも」と報道が出て、予想通り152円台くらいに推移しました。「利上げする」と発表があり、ずっと152円台に進んでいたのですが、植田総裁の会見が終わった直後から一気に円高に進みました。31日夜には149円台まで推移しました。

背景にあるのが、会見でのこちらの発言です。

「見通しどおり経済・物価が動いていけば、引き続き、金利を上げていく。0.5%は壁として特に意識していない

例えば、年内に1回は利上げ、さらに2025年春くらいにもう1回利上げするという観測が広がり、149円台まで推移したとみられます。この発言は予想外でした。

藤森キャスター:
さらに、金利「0.25%」に引き上げた場合の預金利息は仮に100万円を銀行に預けた場合、普通預金の場合は年間300円程度、定期預金(10年)の場合は年間6000円程度は利息が増える可能性があると考えていました。

大手銀行はすぐに動きを見せました。三井住友銀行は8月6日から、三菱UFJ銀行・みずほ銀行は9月2日から、0.10%に引き上げると発表しました。

少しずつ「金利のある世界」が始まっているような感じですね。

トラウデン直美さん:
日本に住んでいて、「金利のある世界」の経験がないので実感もないです。

ただ、金利が上がるということは、企業からしたら銀行からの借金を返すときに少し大変になってくると思います。

今回、小さい幅かと思われていましたが、どのくらい影響があるのでしょうか。

片山薫 記者:
植田総裁は「大きなマイナスの影響を与えることはない」と言っていますが、これまで“低金利慣れ”しているので、少しでも上がると苦しい企業が出てくると思います。

大きくお金を借りても、それに対する利益を出せないと、企業として成り立たない。つまり市場から退出しないといけない例も出てくると思われます。甘くない世界だと思います。