今もロシアによる激しい攻撃が続くウクライナ。今、日本に特別に来日しているウクライナ軍の元兵士にトラウデン直美さんが単独インタビュー。生々しい戦争体験、そして今の思いを聞きました。
「住民に常に緊張感を与えるため」ロシア軍の滑空爆弾

増尾聡 記者
「まさに昨日攻撃をうけた場所です。地元の子どもたちが通う学校だということです」
弾道ミサイルが直撃したという学校は、完全に崩れていました。

増尾聡 記者
「本当に破壊の様子が一帯で分かります 。小さな靴もあり、通っていた子どもの靴だと思いますけれど…本当に考えるだけでもゾッとするような光景がいま広がっているんです」
ウクライナ北東部ハルキウ州。ロシア軍は5月、国境を越えて州の北部に侵攻を始めました。ここ、デルハチはロシア国境から20キロほどに位置し、この2か月だけで50人以上が死傷しています。

増尾聡 記者
「あー ここが…ちょうど爆弾が…うわ、すごい。家がもう完全に内部が露わになっているような状況です。ここで使われたのは『滑空爆弾』と呼ばれるものです」

ロシア軍がいま、ウクライナに対し多用している「滑空爆弾」。翼と誘導装置が付けられていて、重量は最大3トン。大きな威力を持ちます。射程は長く、ロシア領内から投下できるため、防衛は困難です。
増尾聡 記者
「多くの家や建物が同じようにこの1つの爆弾で破壊されています。市民の人にとっては極めて恐怖でしかないと思います」

滑空爆弾の被害を受けた住民
「言葉では表現できないほど怖かった。こんな風になってしまう威力で、あらゆるものが吹き飛んだ」
ロシア軍は、戦闘の前線だけでなく、市民が暮らす集落も滑空爆弾の標的に。その狙いはどこにあるのか。

デルハチ市の広報官
「混乱とパニックを引き起こし、住民に常に緊張感を与えるためです。そうすることで、人々の精神状態を悪化させ、この地から住民を追い出そうとしているのです」
実際にデルハチでは、滑空爆弾の被害が増えてからこの地を離れる人が急増しているといいます。
デルハチ市の広報官
「ロシア軍は住民を恐怖に陥れることで、その目標を達成しつつあります」