■《地元の苦悩 ”環境保存”…漁業者や観光客の“安全確保” 》
地元の人からは、こんな懸念の声も上がっている。
斜里町民
「あそこは風も強いので飛んだり、火災になったりした、どうするのかなと」
今年3月、鹿児島県伊佐市では、メガソーラーから出火し、鎮火に20時間を要する大火災が発生している。
こうした太陽光発電所で発生する火災について、問題視されている。しかも、大自然に囲まれた知床ならではの問題も…。
斜里地区消防組合 消防本部
「消防車では行く手段がない」
地元の消防本部によると、知床岬にいたる道路がないため、万が一、火災が発生した場合、消防隊は現地に辿りつくことが出来ない。
斜里町 山内浩彰 町長
「さまざまな自然への影響を、しっかりと検討してもらいたい」
知床岬の工事を一旦中断し、その両サイドの携帯電話基地局の電波状況を確認してから、知床岬での工事の検討を提案している。
一方、羅臼町では、安全確保の観点から、別の考えを示す。
羅臼町 湊屋稔 町長
「今でも見つかっていない方々がたくさんいます。あの(観光船沈没)事故だけじゃない…行方不明者を二度と生まないと…」
羅臼町は、漁業者や観光客の安全のため、速やかな携帯電話基地局の設置を求めている。それというのも、携帯は緊急時の連絡だけではないからだ。
羅臼町 湊屋稔町長
「情報が収集できるということは、漁業者にとって大きなメリット。『30分後に天気が悪くなるから切り上げよう』と(スマホがあれば…)判断ができる」
「知床でも大きな地震が起こると言われている。例えば"Jアラート"や"緊急防災メール"が、船の上の漁業者には届かない。生命や財産を守るのが自治体の仕事」
人間の安全と貴重な自然、どちらも守る手段はないのだろうか。














