海上自衛隊で安全保障に関わる「特定秘密」が不適切に扱われていた問題。防衛省はあす、処分などを発表する見通しです。

「特定秘密」運用めぐり処分へ

記者
「岩屋会長の姿が見えました。これから情報監視審査会に臨みます」

午後、国会内で開かれた情報監視審査会。完全非公開のなか、議題となったのは海上自衛隊の「特定秘密」をめぐる問題です。

およそ10年前に成立した特定秘密保護法では、安全保障に関する情報のうち、特に保全する必要があるものを「特定秘密」に指定することになっています。

この情報を扱うには、犯罪歴がないかなどに答える適性評価を受ける必要があります。ところが…

木原稔 防衛大臣
「本年4月26日に公表した2件の特定秘密漏えい事案を受けて、類似の事案の有無について調査するよう指示しました」

今年4月、海上自衛隊と陸上自衛隊で資格のない隊員に「特定秘密」を扱わせていたことが判明。

さらに、調査を続けたところ、今月に入り、海上自衛隊の複数の艦艇でも「特定秘密」の不適切な扱いが発覚したのです。

どのような場所で問題の運用が起きていたのでしょうか。

これは、今回の問題とは別の機会にJNNが取材した護衛艦内部の様子です。

モニターが並ぶのはCIC=戦闘指揮所と言われる場所。情報が集約される、いわば「心臓部分」です。

「弾道ミサイルが発射されました」
艦長
「対BM(弾道ミサイル)戦闘用意!」

「弾道ミサイルは日本本土に向かって飛翔します。弾道ミサイルを迎撃します」
艦長
「対BM戦闘、SM3攻撃はじめ!」

こうしたモニターに映し出される情報には、「特定秘密」が含まれている可能性があります。特定秘密を扱うCICの乗組員は…

護衛艦「きりしま」 CIC担当乗組員
「神経質になりますし、自分の普段の行動やちょっとした発言でも、そういう情報に繋がるので、その辺はかなり気をつけてやっています」

護衛艦「きりしま」 CIC担当乗組員
「(Q.やはり秘密はかなり高度ですか?)そうですね、日本だけでおさまる話ではないので」

ところが、今回の問題では資格がない隊員にCICでの勤務が指示され、特定秘密を取り扱わせる運用が続けられていたといいます。

防衛省は「部外への漏洩の事実は確認できていない」としていますが、今後の日米関係に与える影響について、海上自衛隊のトップは…

酒井良 海上幕僚長
「一般論で申し上げますと、特定秘密の管理というものが厳格になされていなかったという事実については、何らかのインパクトはあるものだと考えなければならないと思っている」

日本の安全保障に与える影響が懸念されています。