「思無蔵やあらによー、待ちかにてぃ居たみよー、へいよーしゅらよー」


少し緊張した面もちで歌の稽古に励む子どもたち。国立劇場おきなわが主催する「こどもサマースクール」の様子です。

コロナ禍で体験学習の機会が減ってしまった夏休みの小学生を対象に沖縄の芸能に触れる「最高の劇場体験を」と実施されています。

「真美、これだよ、こっちでやったときにこれで回る、そうそうそうそう!」

子どもたちを指導・サポートするのは、現役で活躍する役者や地謡(じかた)の皆さんです。


指導を行う 上原崇弘さん
「沖縄芝居独特の表現方法は普段あまり感じられる感覚ではないと思うんですけども、日に日に表現力もアップしていっていますので、多分皆さん緊張するかと思うんですが、逆にそれを楽しんでもらって良い経験になればなと思います」

今回子どもたちが挑戦するのは、沖縄芝居「馬山川(ばざんがー)」石垣島の民謡の節にセリフをのせ、若い男女が楽しい一日を過ごす様子をコミカルに描いた作品です。見どころは、美男美女が醜男醜女(ぶおとこしこめ)の喧嘩の仲裁に入りみんなで仲良く歌い踊る場面。

子どもたちのほとんどが歌や踊りは未経験。およそ5日間の稽古で一つ一つの台詞や所作を一生懸命覚えます。

美女役 住田野衣さん
「全部おしとやかな感じに動いたりするところが荒っぽい性格だからそういうところを細かくやるのが難しいけどちょっとずつ覚えてきてる」

Qやってて難しいところある
醜男役・吉田陽葵さん
「たぶん美女と美男よりは簡単かな」



なかには母の勧めで四きょうだいで参加した子どもたちもいます。

四きょうだいの長女 備瀬真美さん
「うちなーぐちとか沖縄の方言で演技してみたいなと思ったからやりました」
四きょうだいの長男 備瀬一香くん
「醜男らしく頑張ります!」

四きょうだいの次女と三女、双子の真子さんと美子さんが演じるのは、明るく元気な醜女(しこめ)役です。

先生「どんな?出来そう?」
真子「踊りは出来るけど歌はブー×」

それぞれの動きを確認してこの日の稽古は終了。お盆休みを挟んでいよいよ本番を迎えます。

先生「ありがとうございました」
子どもたち「ありがとうございました」

ついに迎えた本番当日。子どもたちの楽屋を覗いてみると、化粧や着付けをして準備をしていました。

醜女役の2人は、何だか余裕そうな雰囲気です。


Q緊張してますか?
四きょうだいの三女 備瀬美子さん
「全然、練習と同じようにすれば良いことだよ」

その大物ぶりはいかに。いよいよ本番の幕が上がると、子どもたちの表情は一変。美男美女の上品な所作や、男醜女のコミカルな動きもしっかり表現しています。

堂々とした演技に会場からは拍手が。

指導を行った 仲嶺夕理彩さん
「上等だったよ~!よく頑張りました」

本番を終えてみんな達成感に満ちた表情を浮かべます。最後はみんなで化粧を落として、応援に駆け付けた家族のもとへ。


夢梨さんの保護者
「やっぱり子どもたちの生き生きした顔を見れて、成長した部分も見れて良かったなと思います」
金城夢梨さん
「もっと練習して芝居に出たいです」

備瀬きょうだいの保護者
「12分のステージだったんですけど、もう完璧やったな、感動しましたね」
備瀬真子さん
「他のウチナーグチとか使ったやつをやったりして、それを頑張って前向いて進んでいきたいと思います」

沖縄の芸能に触れる真夏の大舞台を通して子どもたちの表情は少しだけ凛々しくなったようでした。