止まらない値上げラッシュ。食品価格の高騰を少しでも抑えるため、岸田総理は8月15日、輸入小麦の売り渡し価格の据え置きを指示しました。

■岸田首相「高騰は切実」小麦の“売り渡し価格”据え置きへ

岸田首相(8月15日):
日常の生活に欠かせないパンや麺類などの製品価格の高騰は切実です。
野村農水大臣には、輸入小麦について、10月以降も政府から国内製粉会社への売り渡し価格を据え置くよう指示をいたします。

小麦の「売り渡し価格」とは何なのでしょうか?まずは小麦の流通過程を見ていきます。そもそも、日本で流通する小麦の約9割は、海外からやってきます。政府が買い付けを行い、製粉企業への「売り渡し価格」を決定。買い取った製粉企業からパン・麺メーカーへ卸され、最終的に消費者のもとに届きます。


政府の売り渡し価格は、2019年10月(4万9890円)から下がったり上がったりを繰り返し、2020年10月以降は右肩上がり。私たちの手元に届く小麦粉・食パン・ゆでうどん・スパゲッティなどの小売価格にも大きな影響が出ています。このままいくと2022年10月には20%程度上がり、1トンあたり8万7000円くらいになる見込みでしたが、今回政府は据え置きを決定したということです。

■“安さがウリ”のベーカリー 小麦だけの対策では「焼け石に水」

あんぱん140円(税込)、ツナマヨコーンパン159円(税込)など、商品の8割が100円台という、安さと味がウリのベーカリーも、4月から15%程度の値上げを余儀なくされています。


1年前と比べて、小麦の仕入れ値が1.5倍値上げ。さらにパンに使われるフルーツ、ナッツ、砂糖の仕入れ値は1年前と比べ3割上がり、バターは2倍に上がりました。


ーー今回の小麦価格据え置きについて

コミネベーカリー 小嶺忠オーナー:
他の主原料が上がっちゃってますから、(小麦の価格据え置きは)焼け石に水状態ではありますね。政府に「小麦の価格据え置きだよ」って言われちゃうと、(パンの値段を)上げたくても上げられないですよね。上げづらいですよね。

恵俊彰:
「据え置きだから何とか助かりました」という意見が聞かれるかと思ったらそうじゃなくて、他の原料が上がってるから本当は値上げしたいんだけど、こんなこと発表されちゃって逆に上げづらくなっちゃうって。

コメンテーター トラウデン直美:
値上げができなくなっちゃうという八方ふさがりになって本当に苦しいなと思います。でも、消費者側もやっぱり値上げはきつい。誰もがどっちにも行けない大変な状況ですね。