観光客
「すごく勢いが良いので元気をもらいました」 「沖縄の文化の豊かさを感じた。活気に満ちていて、とても楽しめた」

行動制限のない夏。各地で3年ぶりに開かれるイベントが増えています。旧盆中は多くの人が、エイサーの道ジュネーを楽しみました。日常が戻る一方で、医療現場を守る人たちは苦悩しています。

医療従事者Aさん
「世の中が通常の生活に戻りつつ、私たちは子どもたちとレジャーに出かけることもできない。世間とあまりにもギャップが激しすぎて」

こう話すのは、県立病院で働く女性Aさん。医師の診断書作成などの作業を補助する「ドクターズクラーク」と呼ばれる医療従事者です。 新型コロナの第7波が医療現場を襲い、医療に深刻な影響を及ぼすさまを、日々目の当たりにしています。

医療従事者Aさん
「見てきた限りでも、交通事故で轢かれて泣いているお子様の受け入れすらできない状態だったので、それは特に救命や外科の先生方は苦しかったと思 います」

院内で働く医療従事者の感染も相次ぐなか、残った医師・看護師が崩壊した現場を回し続ける毎日。制限されているコロナ以外の患者の健康悪化も気がかりです。

医療従事者Aさん
「一番心配なのはがん患者。がん患者のオペが延期になっている状態というのは、患者様からはかなり不安に思われていると思います。 」

コロナ以外の医療で本来の使命を果たせない医療崩壊。Aさんの勤務先では、心身ともに追い詰められた外科医、救急医など、最前線の医師の退職が相次いでいるといいます。

Aさん自身も、過酷な日々からの出口が見えないことに不安を感じ、来月で10年を超えるキャリアに終止符を打つことを決めました。

医療従事者Aさん
「休日のON・OFFさえ私たちには許されてない。どれだけ私たち耐えればいいの?現場の方達、本当に耐えてる方達多いんですけど、私自身はもう限界でした」

こうした離職者が出る一方で、過去に離職した医療従事者が復職するケースもあります。

感染防護策を学び治している、伊禮香奈恵さん。子育て中の看護師です。およそ2年前、総合病院を退職していましたが、今回、現場復帰することにしました。

現場復帰する伊禮さん
「子どもが小さいので、小さいうちは看護師として働かないと自分の中で決めてたんですけど、やっぱり現状大変というのはニュースやら友達から聞いていて、短期間でもというので、少しでも力になれたらなと」

何かの役に立ちたいとは思いながら、フルタイムの再就職にはためらいがあった伊禮さん。 しかし期間限定の応援看護師の募集のなかに、今月末までの短期間の募集があったことで、現場復帰の一歩を踏み出すことができました。

現場復帰する伊禮さん
「娘は『頑張ってね』と言ってくれて、娘が通っている幼稚園の先生も、それだったらということで、預かりの枠に入れてもらったり、不安とかよりも応援されることが多い感じですかね 」

ブランクが短い伊禮さんは即戦力。新型コロナ患者 に対応する「重点医療機関」に派遣され、コロナ以 外の現場業務にあたります。

県ナースセンターによると、伊禮さんと同じように重点医療機関での後方支援で現場復帰する看護師は先週末までに22人にのぼりますが、まだまだ人手は足りません。

「酸素の機械、つけますよ」

研修から3日で、派遣先のハートライフ病院に出勤した伊禮さん。病院から届いた映像では、 手慣れた様子で、高齢者の看護にあたる姿がありました。

伊禮さん
「自分の経験したことを少しでも発揮できればいいかなと思っています」





【記者MEMO】
子育てや介護などの理由で一度は離職した医療従 事者が期間限定で復職するケースは県内では伊禮さんを含め先週末までに22人で少しずつ増えています。 伊禮さんの勤務は日中9時間の週4日。 入浴の介助などから始め、今週からは細かい処置 のヘルプも行っているということです。

ただ長いコロナ禍に疲れて退職される医療従事者の話もありました。ベテラン医療従事者の離職は社会の大きな損失です、感染を収束させることでなんとかこうした不本意な離職も防いでいくことが求められています。