“一つの国家”とも言われる巨大都市・東京。そのリーダーを決める都知事選挙が始まりました。桁違いの財政力に裏打ちされた独自の政策が、国を動かすこともあり、都知事の影響力は日本全体に及びます。一つ一つが県並みの人口を抱える23の特別区を束ね、ある意味で“東京市長”の性格も併せ持つ都知事の権力の源泉とは…手作り解説でお伝えします。

中規模国家に匹敵「大都市・東京」

都庁プロジェクションマッピング、2年間の費用48億円は、一般的な村や町の1年間の予算規模にあたり、東京が桁外れの財政力を持つことが分かります。東京都の人口は1400万人。警察官や教員などを含めた職員の総数は16万6000人。年間の予算はスウェーデンやオーストリアといった中規模国家並の16兆円にのぼります。

都と市 “2重の長”の性格も…

都知事の権限は非常に大きく、国会議員の中から指名される総理大臣と違い、1150万人の有権者から直接選挙で選ばれるので、“大統領”に近いとも言われます。

そして、総理大臣が内閣全体で方針を決めるのに対し、都知事は、政策決定から、予算の編成・事業の運営まで一手に握っており、裁量が非常に大きい点が特徴的です。

もう一つ、ほかの道府県だと、たとえば、神奈川の「県知事」と横浜の「市長」といったように、別々の首長が存在しますが、都知事は東京都全体のトップであり、また、昔の東京市にあたる23区を実質的に束ねている、市長のような存在とみることもできます。

元都庁職員で中央大名誉教授の佐々木信夫さんは、「都知事は“2重の長”であり、ふつうは市が運営する公共交通機関や消防・水道・港湾施設も管轄するなど、権限が絶大だ」と指摘しています。