梅干し作りをやめる農家が多いことに…“危機感”
こうした中、梅干し作りを新たに始めたところも。
こちらは愛知県常滑市の澤田酒造、どうして酒蔵が梅干し作りを始めたのでしょうか。
(澤田酒造 澤田薫 社長)
「日本酒を使った梅酒造りを約20年続けているが、その間ずっと地元の“佐布里梅(そうりうめ)”を使ってきた」


梅酒作りに地元特産の佐布里梅を使い、梅農家と長年の付き合いがあった澤田社長は、梅干し作りをやめる農家が多いことに危機感を持ったといいます。
(澤田酒造 澤田薫 社長)
「梅干しが農家にとってのアイデンティティーだと聞いて。それができないとなったら、梅を作ることも後ろ向きになってしまう」

佐布里梅と梅干しを守りたいとの思いから、自ら梅干しを作ることにしたのです。
元々台所だった場所を衛生基準を満たすように改装。
5月に漬物作りの許可がおりて、この日は初めての仕込みにこぎつけました。

作業を見守るのは地元の梅農家の真田愼吾さん、今回の法改正を機に梅干し作りをやめた一人です。
(梅農家 真田愼吾さん)
「(佐布里梅は)梅干し用に適している。果肉が多いので。うれしい、梅干しを作ってもらえることになって。楽しみにしている」


初めての梅干しづくりは、真田さんの助言を受けながら進んでいきました。
(スタッフ)
「心配ですね。心配の方が勝っている。でも大丈夫」
(澤田酒造 澤田薫 社長)
「施設が間に合って、仕込めて一安心。おいしい梅干しができることに期待している」
作業場の改装費用は約100万円、決して安い額ではありません。
(澤田酒造 澤田薫 社長)
「梅干しだけでは成り立たせるのは難しい。梅干しと同時に、酒かすを使った“かす漬け”も作って。複数の漬物を作ることで年中生産できるようにしたい」


不作と法律の改正が重なり、大ピンチとなっている梅干し。
この先どうなっていくのでしょうか。