いい「世さ来い」願って よさこいを紡ぐ

須賀さんが、よさこいを踊る際に行う「前口上」で、必ず口にする言葉がある。よさこいは諸説あるが「夜さ来い」今夜いらっしゃいという意味。それを須賀さんは「いい世さ来い」いい世の中になるようにと願って、常に発信していた。

須賀さんが亡くなった後に発行されたエッセイ集のなかでも、彼女はこう書き記している。

「今や日本中に広がったよさこい。私はこの現象に火を付けた1人として感じています。祭りは古いものと新しいものとが共に手をとりあい、助け合い、認め合い、分ち合い、生きていることに感謝し、楽しむことが基本だということを。よさこいはすべての人々のものであり、誰もが望む『いい世さ来い』の『世さ来い』なのです」

■國友裕一郎さん
「母のよさこいに込めた思いが「いい世さ来い」です。世界中のみんなに幸せになってほしいという思いで活動していた母でした。今年6月の北海道・YOSAKOIソーラン祭りでは、母が33年前に振り付けしたセントラルの伝説の踊りを、全国の踊り子のみなさんと共に披露することができました。これからも、母の生き様、志を受け継いで、よさこい人生を歩んでいきます」

裕一郎さんは、71回目を迎える8月のよさこい祭りに、今年も母の名前を冠にした「須賀IZANAI連」を率いて踊ることになっている。見えない母のチカラに感謝しながら、そして「いい世さ来い」の思いを繋げていくために。  

「須賀IZANAI連」率いる裕一郎さん(最前列左・赤い衣装)