浦添市では選挙の度に大きな争点の1つとして浮上する那覇軍港の移設計画。

那覇軍港を浦添市の西海岸に移設するとともに那覇港浦添ふ頭を拡張し、人工ビーチなども整備する計画で、おととし、国と県・那覇市・浦添市の4者で計画に合意し現在は環境影響評価が進められています。

宜保成幸浦添市長(当時)
「とにかく移設に対してはどういう条件であれ断固反対であると」
那覇軍港の返還合意からことしで実に50年。浦添市が移設先として選ばれたのはおよそ30年前の1995年でした。それ以降、時々の市長が移設反対や受け入れを表明し、今の松本市長は移設を容認する立場です。

数少ない手つかずの海岸を守ろうと、複数の市民団体が計画の見直しを求める署名活動などを展開しています。
美ら海を未来に残したいうちなーんちゅの会・大山盛嗣さん
「一番問題だと思うのは、ほとんどの人が、ここが埋め立てられるということを知らないという事実があります。そもそもこの埋め立てというのが軍港ありきということをですね、知ったんですが、今、那覇軍港自体がどれくらい使われているのかも、どういう軍事的な必要性があるかそういったこともほとんどの人が把握されていないまま、単に決まっているからと言って浦添に移そうとしているんですね」

移設計画が十分に周知されておらず、議論も深まっていないとして、全県的なアンケートの実施など、県民の意見を反映させるための取り組みを県に求めました。
移設に反対する伊波正さん(浦添市屋富祖出身)
「商業施設のフードコートから見える海、夕日、海岸で遊んでいる子どもたちやカップル、家族が遊んでいる中で、そこから夕日が見える風景が全てもしかしたら無くなるかもしれないという状況が僕としては本当に許せません」
移設に反対する1人、浦添市屋富祖出身の伊波正さん。天然の海岸を残した方が、将来的な経済発展につながると考えています。

移設に反対する伊波正さん(浦添市屋富祖出身)
「人工ビーチに関して言えば、県内で宜野湾のトロピカルビーチ、波の上ビーチもありますし、天然の海を壊してまで人工ビーチを造る理由が僕としては分からないですね。10年後、20年後、この街に子どもと来た時に軍港が目の前にあって、昔ここ天然の海だったけど軍港を造ったんだと胸張って言えますかと」
一方、繰り返し移設推進を訴えてきた地元経済界は現状をどう見ているのか。浦添商工会議所の又吉会頭に聞きました。

浦添委商工会議所・又吉康多郎会頭
「もうある意味では4者で決めたことですので、そこに向かって進んでいく。そこに関しては企業経済界としては、経済の発展・活性化につながる方向に進めていただければいいなというふうに思ってます」
移設計画を進めたい背景には、これまで観光客に“素通り”されてきたという、浦添市の課題を解決したいとの思いがあります。
浦添委商工会議所・又吉康多郎会頭
「浦添はやはり人口が増えてきて、那覇のベッドタウンとして発展してきたと思ってるんですけど、少し頭打ちかなという感じがしてますんで。本当に人が集まる人が行ってみたいと思う場所、そういうふうな浦添の将来に私はなってほしいと思っていますね」
また、軍港の移設による影響については。
浦添委商工会議所・又吉康多郎会頭
「今の那覇軍港の状況を見ているとそんなに大きな影響は出ないのかなと思っています。沖合に造られますので、特にそんなに問題ないのかなと私は思っているんですけど」
市民目線で、移設計画に賛成する人もいます。浦添市当山に住む藤澤昂平さんは民間港や人工ビーチが整備されることに期待を寄せています。

移設に賛成する藤澤昂平さん(浦添市当山在住)
「軍港だけじゃなく、民港もできてビーチもできて、この周辺一帯が活性化して、市民・県民そして観光客が集まるような場所になったらすごくいい街づくりになるのかなと思っております」
そしてこれからの街づくりを担う世代にこそ、この計画について考えて欲しいと訴えます。
移設に賛成する藤澤昂平さん(浦添市当山在住)
「若い世代の新たなビジネスチャンスだと思って、雇用もうまれるし、浦添市としてはメリットが増えていくのかなと思っています」

移設計画の推進か、見直しか。それぞれの候補者の訴えを見極めて票を投じることが求められます。
【記者のMEMO】
那覇軍港の浦添移設計画について、候補者全体の賛否は、反対する候補者は26人、賛成・容認の候補者は35人、その他・無回答は14人となっています。
それぞれの候補者の主張を比べた上で、貴重な一票を投じて欲しいと思います。














