新型コロナの感染拡大で医療スタッフが出勤できず、手術の延期や急患の受け入れを断るケースが出始めています。医療がひっ迫する中、自治体の要請によりコロナ患者の病床を増やすことになった病院は、ついに病棟を一時的に閉鎖することを決めました。
◆約1割の看護師が欠勤状態

北九州市八幡東区にある製鉄記念八幡病院です。新型コロナに感染した中等症以上の患者を受け入れる、福岡県の重点医療機関に指定されています。感染が急拡大した7月以降、深刻な人手不足に直面しています。

製鉄記念八幡病院 古賀徳之院長「スタッフ、特に看護師に感染者あるいは濃厚接触者が相次いでいまして、約1割の看護師が欠勤状態になっています」
◆「新型コロナ専用病床」ほぼ満床
人手がひっ迫する中、22ある新型コロナの専用病床はほぼ満床です。ほかの病棟の対応もあるため、連日、人繰りに追われています。

「日勤も明日は確保できる?ちょっといつもよりは少ない感じ?」
◆救急搬送を断ることも・・・

医療体制を維持するため、何とか勤務を調整しようとしていますが、影響は徐々に広がっています。中等症以上のコロナ患者を最優先に受け入れる一方、そのほかの救急患者の搬送については、一日に数件、断ることも・・・。また、緊急性の低い患者の手術は延期しています。

製鉄記念八幡病院 古賀徳之院長「診療の優先順位をつけざるを得ない。患者には大変申し訳ないが、どの病院も何らかの制限をかけているのが実情だと思う」
◆「病棟閉鎖」苦渋の決断
そんな中、先週、福岡県からコロナ病床を増やすよう連絡がありました。これを受け、病院は来週から3床増やすことを決めましたが、それに伴い、ある決断を下しました。

古賀徳之院長「3床増やすためには、看護師を11人増やさないといけない。どうしても、ほかの病棟の看護師をコロナの病棟に移動させなくてはならないので、ほかの病棟を1つ閉鎖せざるを得ない」
◆“綱渡り”続く医療現場

臨時的に一つの病棟を閉鎖することにしました。ただ、コロナ病床が増えるため、負担が減るわけではありません。今後、入院患者の更なる増加も懸念されており、院長はスタッフの体調も心配しています。
古賀徳之院長「精神的にも肉体的にも、夏の時期にフェイスシールドをつけて、感染防御もしてということになるからかなり疲弊する。なかなか難しいところです」

人手不足と反比例するように増加する負担。医療の現場では綱渡りの状況が続いています。














