黒のスーツ姿で入廷 男は緊張した面持ちで判決を待ち…

         女の子が乗っていた軽乗用車=2022年6月

検察側は5月21日の論告で、大幅な速度超過による「男の過失の度は大きい」と指摘。「女の子は、事故の当時も楽しみにしていたお祭りに行くため、祖父の運転する軽乗用車に同乗していた。突然、命を奪われ、その苦痛や無念さは察するに余りある」などとし、禁錮3年を求刑しました。

一方、弁護側は「双方とも青信号で、右折車両は直進車両を待たなければならないのだから、被害者側にも過失が少なからずあり、亡くなった女の子は後部座席でシートベルトはしていなかった」と指摘。加えて、運転免許は取り消し処分になり、再犯の可能性もないなどとして、執行猶予付きの判決を求めていました。

そして迎えた判決の日。男は黒のスーツ姿で入廷。緊張した面持ちで、うつむいたまま静かに判決を待っていました。

広島地裁福山支部の 松本英男 裁判官は「指定最高速度の2倍以上の速度で走行させ、過失の程度は大きい。1人を死亡させ、2人に重傷を負わせた結果は誠に重大」とし「実刑の選択も視野に入る事案であるといえなくもない」と述べました。

一方で、「交差点を右折するにあたり、直進してくる車を十分に確認しなかったことなど対向車側の事情も結果に影響を及ぼしているとみることができる」と指摘。「被告人の過失に対しては厳しい非難は免れないとしても、直ちに実刑に処することは躊躇される」などとし、禁固3年・執行猶予5年の判決を言い渡しました。