今年は各地で、3年ぶりに夏祭りが開催されています。福岡県久留米市でも「水の祭典」のメインイベントである「そろばん総踊り」が3年ぶりに披露されました。初めて舞台に立った女子中学生に、荒木大輔カメラマンが密着しました。
◆伝統の踊りに中3挑戦

中学3年の中村怜音(りおん)さん。本番を1か月半後に控え練習にも熱が入ります。
中村怜音さん「そろばんは、数学とかでしか見たことがなかったので、『そろばんで踊る』っていうのにビックリして、そこに惹かれました」

中村さんは、中学1年のときにそろばん踊りを始めました。水の祭典は新型コロナの影響で2年連続中止になったため、今回が初めての大舞台です。

久留米民謡舞踊保存会 今泉由美子会長「怜音さんはどうですか、よかった?」
中村さん「移動のタイミングがまだつかめていないです。もう少し練習します」
「今日の感覚を忘れないで。毎週お稽古しますから」
◆そろいの久留米絣で

65年前に結成された久留米民謡舞踊保存会は毎年、水の祭典でそろばん踊りを披露してきました。衣装は全員、おそろいの久留米絣(がすり)です。
そろばん踊りは久留米絣から生まれた、とされています。

久留米絣技術保存会事務局 丸林禎彦さん「そろばんと結びついたのは、たまを弾く『シャー』『カチャカチャ』という音が(機織りと)似ているところがあって。商人が買い付けに行ったりする時に見て、今よりもそろばんが身近にあった時期で」

本番を直前に控えた中村さん、基本動作を何度も繰り返し練習します。
今泉会長「上・下・上・下の時、『上』だったら、上を少し見るのね。正面しか見てないから。ちょっと直してください」

中村さん「目線が下になると、顔が暗く見える。一番気をつけるべきところかなぁと思いました」
◆さあ、本番! そろばん総踊りの舞台に

中村さん、いよいよ出番です。久留米絣を身にまとい、慣れないメイクを施します。
中村さん「もうすぐ始まるんだなぁ」
今泉会長「気分悪くなったら、すぐ(舞台から)降りていいよ」

「さあ、総踊りが始まりました」

30分間の舞台を踊り切った中村さん「自分が上(舞台)で踊っているのがすごい不思議で、周りでいろいろな人が踊っているのを上から見てて、楽しかったです。すごく歴史があるのを自分が今伝えているっていうのを、すごい誇らしいことだなと思います」
荒木大輔カメラマン「そろばん踊りは続けていきたい?」
中村さん「はい」
カメラマン「いつまで続ける?」
中村さん「立てなくなるまで! 続けます」