岡本正穂 さん、94歳。2023年まで36年間、島の集落の区長を務めました。小佐木島は、かつて「造船の島」として栄えました。昭和30年代には140人が暮らしていましたが、減少の一途をたどりました。

小佐木島 前の区長 岡本正穂 さん(94)
「島が発展するならと区長を務めたが、5~6年で(事業が)ダメになった。若者が就職で島を離れた。60歳以上の年寄りばかりになって…」
2024年の人口は5人。うち4人が90歳前後で、30軒ほどある住宅の多くが空き家でした。島を何とか存続したい―。岡本さんの強い願いです。

小佐木島 前の区長 岡本正穂 さん(94)
「この島がなくなったら、先祖に申し訳ない。誰が住もうと、小佐木島がなくならなければ、それでいい」
2023年、島に移住した 尾身大輔 さん(32)です。広島市立大学で芸術を学んだあと、彫刻家として活動しています。今は島の活性化に取り組む公益財団法人に所属し、ここを創作拠点としています。
島に移住した彫刻家 尾身大輔 さん(32)
「自然が近い。生き物を制作していて、作りたいモチーフに会いやすい」

尾身さんは週に1度、船で買い物に出かけたり、地元の人から野菜を分けてもらったりしているそうですが、こんな意見もありました。
島に移住した彫刻家 尾身大輔 さん(32)
「ものを販売する場所があれば。自動販売機くらいはあってもいいかと」
ツアーに参加した家族たちは、島の魅力の一つ、山に向かいました。緑が生い茂る竹林は成長しすぎると、山を荒らしてしまうそうです。これを防ぐため、島で育った人などが今も定期的に切り倒し、景観を守っています。参加者も竹割りに挑戦しました。

広島市からツアーに参加(30代)
「(竹の)中は空洞だが、外が硬くて、かなり押さないと切れない」
「(島に)行く機会がないので、日頃と違う世界観」