アリのおこぼれ狙いの生き物は他にも…

【画像⑤】アリのそばにマダラマルハヒロズコガが集合!

(東洋産業 大野さん)
「アリの巣の周りにはこういうおこぼれ狙いの生き物や何なら巣の中に入っていく、あるいは同居する剛の者もいます。

チョウの仲間だと小さいどこでもよく見るシジミチョウの仲間はアリの巣に入り込んでしまうやつらですね。うまくアリの巣に溶け込んで、アリと共生しています。中にはアリの意識をだまして幼虫を襲ってしまうシジミチョウもいます」

【画像⑥】周りの色と馴染む「マダラマルハヒロズコガ」

「マダラマルハヒロズコガの動画を撮った人はぎょっとしたかもしれませんが、たぶん迷子になってやってきてしまったのでしょう。きっと近くにアリの巣があったんだと思います。

人に危害は与えませんので、『変な生き物をみた』と話題にしていただければいいのかと思います」

【画像⑦】見かけても、それが虫とは気づかないかもしれない。

ー変わった名前ですが、何か意味があるのでしょうか。

(東洋産業 大野さん)
「斑(マダラ)・丸羽(マルハ)・広頭(ヒロズ)・小(コ)・蛾(ガ)とわかれます。まだら模様の、丸っこい翅をもつ、ヒロズコガ(ガですね)の仲間です。

ヒロズコガは頭に毛がもしゃっと生えていて、目の一部を覆うように見えるので、頭が広く見えることから『ヒロズ』コガです」

ー成虫の姿は見かけたことがある気がします。

【画像⑧】マダラマルハヒロズコガ(成虫)の標本

(東洋産業 大野さん)
「ヒロズコガ科の中にはイガという仲間がいて、それが最も人の生活には悪いことをするでしょうか。ウールやカシミア、毛織物が大好きで、乾燥した動物性たんぱく質を食べ回ります。このガの幼虫もミノをつくります。

周りに落ちている毛や糸を縫い合わせて筒のような巣を作り、体をしまって、頭だけ出して移動します。マダラマルハヒロズコガも似たような特徴を持っています」