新田知事:
「世界統一家庭連合、世界平和連合、平和大使協議会、いくつかの関係の方々とお会いをいたしました。一昨年の知事選で応援を受けたことは事実です」

おととしの知事選で、旧統一教会から選挙応援を受けたことを認めた新田知事。
藤井富山市長:
「選挙期間中か後援会活動中か忘れましたけれど、いずれにしても市長選挙に際して(世界平和統一家庭連合の)集会に呼んでいただいて、そこでスピーチをさせていただいた記憶はあります」
富山市の藤井市長も、去年4月の市長選で選挙応援を受けたと証言。チューリップテレビの取材で、高岡市の角田市長も教団の関連団体である県平和大使協議会の講演会で、演説していたことがわかりました。
角田高岡市長:
「(Q.今年5月に県平和大使協議会の主催の講演会に参加したのか?)講演依頼をいただいて、高岡市も後援についていたりして、広報の方でお受けして出させてしゃべる機会をいただいた」
さらに、自民党の県議会議員全員に取材したところ、4人の自民党県議が関連団体から選挙応援を受けていたことがわかりました。そのうちの1人が稗苗清吉県議です。
稗苗清吉 県議:
「3年前にそれは応援をしていただきました。僕は『来てくれじゃなくて』まあ向こうとの『あ・うん』の呼吸でそういう会合もしてたからね」

稗苗県議は県平和大使協議会の議長を務めていたことも取材でわかりました。
2019年の総会、稗苗県議の隣に座るのは、会長の梶栗正義氏です。梶栗氏は旧統一教会の元会長、梶栗玄太郎氏の息子で、関連団体の国際勝共連合、UPFのトップとして活動しています。
新田知事:
「特に選挙終わってからは、これといった関わりはございません」
こう発言していた新田知事ですが、知事選の翌年、関連団体のイベント「ピース・ロード」に参加していたことをつかみました。
そもそもUPFは旧統一教会の創始者、文鮮明氏がつくった教団との関連が深いイベントです。発言の矛盾についてきくと…。
毛田千代丸キャスター:
「統一教会絡みの質問だめでしょうか。すぐ終わるんですけど」
秘書:
「公務あって」
毛田キャスター:
「旧統一教会関連の団体だったという認識がおありなのかということだけお答えいただけないでしょうか。参加の経緯だけお答えいただけないでしょうか。一言だけだめでしょうか」
新田知事:
「・・・」

富山政界に入り込む旧統一教会。北陸地方の衆院選で選挙応援をした元信者がその実態を語りました。
元信者:
「責任者のほうから選挙応援を手伝ってくれということで、自民党系列の事務所へ行って、リストに沿って電話をかけて」

富山市議会では、関連団体の幹部が自民党会派の勉強会で2度、講演していたことが独自取材で発覚。企画したのは成田光雄市議でした。
記者:
「旧統一教会の考え方を広めることのようにも考えられますが…」
成田市議:
「それは、よろしくないですね。ちょっと問題が…。関係の団体の考え方を広めるということにはつながらないと思いますけども」
講演は議会棟で行われ、講師は国際勝共連合の青津和代氏。内容は、同性婚やLGBTの推進に反対するもので合同結婚式を重要な儀式とする旧統一教会は、同性婚などに強く反対しています。
紀藤正樹 弁護士:
「青津和代さんという方はですね、統一教会の熱心な信者で特に勝共部門の責任者の一人で、国際勝共連合の選挙対策とかを実際に担当していたという人物です。いわば統一教会の活動のかなり大きな部分を担っていた人物を議会の(建物の)中に呼んで、そこで講演をするということ自体もですね、統一教会の活動に加担するようなものです」
チューリップテレビの取材に沈黙を貫いていた新田知事。4日後に、真意を語りました。
毛田キャスター:
「知事選の翌年に旧統一教会系の関連団体のイベント『ピースロード』に参加されていました。なぜ20日の会見では関わりはないと話したのか?」
新田知事:
「世界平和を願い、宗教で毎日戦争が起きているところもあるわけだから、これは良い取り組みではないかと思い出席することとした」
私たちが知事選の応援をした関係者たちを取材したところ「旧統一教会の関係者が名簿作りをしていた」という複数の証言を得ました。
新田知事:
「そのあたりも後援会の事務局長に調査してもらっている…」後援会の調査結果が出る時期については明言していません。
旧統一教会との関わりは国会議員にも。去年6月、衆議院議員会館で開かれた会合の記念写真。
笑顔でガッツポーズをする衆議院富山1区選出の自民党・田畑裕明議員。写真の中央には、関連団体「国際勝共連合」の会長、梶栗正義氏の姿が─。
田畑議員はこのほかにも、関連団体に会費を支出していることがわかっています。こうした取材から旧統一教会が選挙を通じて政治家、そして富山政界に近づいてきている実態が浮かび上がってきました。
取材を通して明らかになってきた旧統一教会と政治との関係。自民党の富山市議会議員田辺裕三議員は教団側が選挙応援を通して近づいて来る実態を生々しく語りました。
記者:
「自身の選挙戦のときに旧統一教会の関連団体から支援を受けたことは?」
田辺裕三 富山市議:「ありますよ」
田辺裕三富山市議:
「向こうからきてくださって、もし良かったらって感じで。『ボランティアで応援させてもらいますよ』って言ってくださるから」

田辺議員は去年の市議選で当選者38人中36位で、当落の差はわずか237票。
『あの人たちがいなかったら、当選していなかったかもしれない』とも語りました。
また、自民党の高田重信市議も選挙応援を「受けたことはある」としています。

取材を続けると旧統一教会が富山政界に入り込むきっかけがわかりました。それが、この写真にある公開講座、富山オープンカレッジです。
主催は関連団体の県平和大使協議会、2008年から去年まで58回開かれ、関連団体の幹部ら少なくとも信者8人が講師を務めていました。
こうした公開講座が、自民党県連が入るビルでも開かれていたのです。写真には田畑衆議院議員や中川忠昭県議の姿が。
毛田千代丸キャスター:
「こちらが実際にオープンカレッジが開かれていた自民党の会議室です。部屋の奥には当時と同じ自民党の文字が書かれたボードが置かれています」
実際に講師を務めた中川県議は。
中川県議:
「だめだめ、電話してから来て」

教団側は講座を開いたり議員らも講師に呼ぶことで関係を深めていったのです。
政界との接点になった人物が取材で判明しました。県平和大使協議会の事務局長、鴨野守氏。富山県出身、世界平和統一家庭連合の広報局長を務めた幹部の1人で知事選で新田知事の選挙応援を担った中心人物です。

毛田キャスター:
「知事選で平和大使協議会側の窓口となっていたのが鴨野さんで。平和大使協議会としては後援会名簿を作成していた」

県平和大使協議会事務局長鴨野守氏(電話):
「選挙の協力はさせていただいたということですね。そして、名簿集めとか電話かけ、それは少しさせていただきました」
さらに、衆院選でも。
毛田キャスター:
「田畑議員なんですけど今写真見てるんですが、田畑裕明議員の総決起大会、2017年10月15日にありまして、この時は鴨野さんやほかの関係団体の方が選挙応援に回ったんでしょうか」
県平和大使協議会事務局長鴨野守氏(電話):
「そうですね。できる範囲で私たちの友人や知人に田畑先生を応援しましょうと」

田畑議員は現在、総務副大臣を務めていて岸田総理は旧統一教会との関係について副大臣を含めた閣僚らに関係を点検するよう指示しています。説明責任は果たされているのでしょうか。
チューリップテレビが追った1か月【前編】