来週、台湾の新しい総統に民進党の頼清徳氏が就任します。中国と距離を置くスタンスの頼氏を揺さぶろうと、中国政府はあの手この手の圧力をかけています。その渦中にある島を取材しました。
台湾の離島・馬祖島。台北市がある台湾島よりも中国に近い場所に位置しています。以前は、中国共産党と台湾に拠点を置く国民党との軍事対立の最前線でしたが、今では当時の軍事施設を利用した観光がメインの島となっています。
ここは中国共産党の攻撃に備えて作られた坑道。ボートで巡ることができ、人気の観光スポットになっています。
台北からの観光客
「(Q.中国が近くてびっくりしましたか)びっくりしました」
この島が今、中国との関係で注目されています。
以前は年間5万人の中国人観光客が訪れ、島の経済に貢献していました。しかし、5年前、中国から台湾への旅行が禁止されたことで島の観光は大打撃を受けたのです。
土産物店の店長
「もちろん影響はあります。中国から観光客が来ないので、お金を使ってくれません」
商店街でもシャッターを下ろしたままの店が目立ちます。
ところが先月、中国政府は福建省の住民に限り、馬祖島への観光を解禁すると発表したのです。馬祖島がある連江県の知事は期待を寄せています。
連江県 王忠銘 知事
「観光産業に大きな影響をもたらすでしょう。馬祖にとっても経済効果が大きいでしょう。非常に期待しています」
中国はこれまでも、観光だけでなく台湾の農水産物の中国への輸出を禁止するなどして、民進党政権に圧力をかけてきました。
今回もあえて、中国に近い立場をとる国民党の訪中団に対し、観光解禁を伝えることで、民進党では中国との関係改善は望めない、という印象を与えたい狙いがあるものとみられます。
しかし、住民たちの期待をよそに、発表から1か月たっても観光の解禁は実現していません。新総統就任を前に、台湾当局と中国側との間で駆け引きが行われているものとみられます。
連江県 王忠銘 知事
「中国と台湾の経済を正常化することを望みます。それは(中台)双方の市民の生活に関わるからです」
さきほどの土産物店の店長も、頼清徳氏の顔が印刷されたお酒を準備して、中国からの観光客を心待ちにしています。
土産物店の店長
「中国人観光客が来たら結構売れるでしょう。早く解禁して欲しいです。本当に希望します」
頼清徳氏は中国とどう向き合うのか。20日の就任式での発言が注目されます。
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