岩手県に地元にまつわる戦争の記憶を後世に残そうとドキュメンタリー映画の制作に取り組む双子の兄弟がいます。題材とするのは、太平洋戦争末期に800人近い市民が犠牲になった「釜石艦砲射撃」です。
「たまたま煙突の真ん中にどんと穴が開いたり、それで倒されたり」
先月24日、岩手県釜石市で釜石艦砲射撃について学ぶ研修会が開かれました。この様子をカメラに収めているのは出身地の北上市を拠点に映画制作を行う都鳥拓也さんと伸也さんの双子の兄弟です。
撮影編集 兄・都鳥拓也さん
「監督をやっている伸也が弟で、撮影、編集をやっている拓也が兄」
幼い頃から映画に夢中だった2人。神奈川県にある映画学校を卒業後、岩手の医療や福祉などをテーマに映画を制作し、去年3月、9本目の映画を完成させました。
ドキュメンタリー映画「戦争の足跡を追って 北上・和賀の十五年戦争」。戦闘機の目撃者や元特攻隊へのインタビューを通じて、どのように戦争の機運が高められていったのかを後世に伝えています。
そして今、2人は、釜石艦砲射撃を題材にした映画制作に取り掛かっています。1945年7月14日、岩手県釜石市は本土で初めて連合国軍による艦砲射撃を受け、8月9日には2度目の砲撃が行われました。
監督 弟・都鳥伸也さん
「釜石の製鉄所が軍需工場に指定されていて、標的にするべきとアメリカにもわかっていて」
まちには合わせて5300発以上の砲弾が撃ち込まれ、釜石市は782人の一般市民を犠牲者として登録しています。
映画の制作は去年4月から始め、捕虜収容所の跡地や体験者のもとを訪れ、取材を続けています。
監督 弟・都鳥伸也さん
「一番びっくりしたのは藤原茂実さん。(艦砲射撃の)2回とも狙われた所のど真ん中にいた」
藤原茂実さん・90歳。当時、藤原さんは疎開する弟たちのため釜石駅に切符を買いに行き、艦砲射撃に遭いました。
艦砲射撃を経験した 藤原茂実さん
「ダダダダーって来たからパッと逃げた。逃げたところは駅の通路の階段の下。1発小さい爆弾落ちていたら死んでしまっていた」
取材を続ける中で都鳥兄弟が悩み続けたのは記憶の継承をどう描くかでした。
「うちのばあちゃんが7歳で終戦だったから、戦争がひどかったのが6歳か7歳。(敵機に)上から撃たれるから、すぐに避難しないといけない」
高校生に家族から聞いた戦時中の話をしているのは、核廃絶を訴える高校生平和大使を10年前に務めた菊池のどかさんです。
10年前の高校生平和大使 菊池のどかさん
「高校生平和大使になってから、文献、本とかで(艦砲射撃を)調べ始めた。自分自身も大切に生きていく中で絶対に忘れてはいけない」
菊池さんが語りかける姿に都鳥兄弟は今回の映画の核を見つけ出しました。
監督 弟・都鳥伸也さん
「高校生平和大使として学んだのどかさんが、次は伝える立場に立ってる。このこと自体が記憶をつないでいくことになるんじゃないか」
若い世代が艦砲射撃に関心を示し、語り継いでいくことで、戦争の記憶を未来へ継承できると期待を寄せる都鳥兄弟。平和について考えるきっかけにしたいと映画制作を続けます。
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