「100年に一度」といわれた8・6豪雨ですが、専門家は「8・6は決して特別ではなく、想定内にしておかなければならない」とし、普段からの備えの大切さを訴えます。

8・6豪雨で氾濫した鹿児島市の甲突川、新川、稲荷川は、川幅を広げるなどの改修工事を終えています。

この地図は8・6豪雨で実際に浸水した地域を水の高さごとに色分けして示したものです。そして、こちらは鹿児島市が作っている防災ガイドマップ。1000年に1度の洪水を想定したものです。5メートル以上の浸水も想定しています。

河川改修は終わりましたが、防災マップで浸水を想定する地域を8・6豪雨の時と比べてみると、29年前に浸水したところとほぼ同じです。
この防災マップをどう読み解くべきなのか?専門家は。

(鹿児島大学 井村隆介准教授)
「多くの人は紫の色がついているところ(浸水5メートル以上)でも「1000年に1回なんでしょ」と思われるかもしれないが、この紫のエリアは実は(100年に一度といわれた)8・6水害時のエリアとほぼ一致している」
「1000年に1回ではなく、実は数十年に1回とか100年に1回くらいは、3〜5メートルではなくて、1〜2メートル浸かるのがこのエリア」

経験したことのないような数十年に一度の大雨で発表される大雨特別警報ですが、県内では県北部などにおととし、去年と2年続けて発表されています。
井村准教授は鹿児島では普段から8・6規模の豪雨を想定しておく必要性を訴えます。

(井村准教授)「洪水時に水に浸かるエリアのリスクは、地形で決まっているので、やはりリスクは残っている」「8・6水害は特別なことではなく、鹿児島では想定内にしておく必要がある」

8・6豪雨では洪水だけでなく、土砂災害でも甚大な被害が出ました。

(井村准教授)「実際に8・6水害時には洪水で亡くなった方よりも、土石流とか、がけ崩れとか、土砂災害で亡くなった方の方が多い」「8・6水害後、崩れた場所の手当てもされましたが、今もこれだけ(災害想定の)色がついているということは、リスクはやはり残り続けているということ。それを理解しておいていただきたい」

8・6豪雨からあす6日で29年。井村准教授は改めて、防災について考えてほしいと話します。

(井村准教授)「普段から気を付けるべきことを頭の隅に置いておくとか、こういう節目節目に自分の家の備えの確認や、家族との(避難時の行動など)情報を統一しておくとか、そういうことが大事」