「飢餓にあえぐ独裁国家」というイメージを持つ人も多い国、北朝鮮です。しかし、日本ではあまり知られてこなかった “市民の日常” があります。

平壌など、現地に暮らす人々にスポットをあてた写真展が、岡山市北区で開かれています。

手掛けたのは、70歳のフォトジャーナリストです。

地下鉄の車内でカメラに向かってほほえむ親子に

プールではしゃぐ若者たち

「独裁国家」のイメージからは想像しがたい、和やかな時間が流れています。

写真展には、北朝鮮に暮らす人々の日常を写した約100点が並んでいます。三重県在住のフォトジャーナリスト、伊藤孝司さんが手掛けました。

(フォトジャーナリスト 伊藤孝司さん・70)
「向こうで結婚式を取材することができたんですけれども、楽しいことがあれば本当にその気持ちを表に出して、すぐに踊ったりする」

第二次大戦の被害をテーマに、アジア各国で活動していた伊藤さん。1992年に初めて北朝鮮を訪れました。

当初は、終戦前後の混乱で日本に帰れなかった残留日本人の問題などを取材していましたが、実際に見たものは日本で伝えられるイメージとあまりに違うことに疑問を抱き、市民にカメラを向けるようになりました。

(伊藤孝司さん)
「国は核ミサイル開発をやったりとか。。。そういう社会の中でも、暮らしている人たちは日本の我々と変わらないような生活を送っている、ということが非常に伝わってきたんですね」

「そこの人たちは平和を望んでいるわけですから、暮らしている人たちの姿を知ることによって、緊張状態みたいなものを少しでも回避できれば」

現地の人々に関心を持ってもらうことが、平和への道を考えるきっかけになれば。会場では毎日ギャラリートークを行い、ありのままの姿を伝えています。

(伊藤孝司さん)
「平壌に大きな川が流れているんですけども、そこの川岸で大規模なビアガーデンがありました。朝鮮にはですね、中ジョッキはないです。大ジョッキしかない。ビールサーバーごと買ってしまって、大ジョッキでガンガン飲んでいると。」

(来場者)
「想像していた以上に生活が豊かだと感じた。こうだろうというイメージは修正しなければいけないなと」

(来場者)
「隣の国の事を自分は知らないなと。人間としてもっと付き合いができればいいのになと」

伊藤さんは、新型コロナの影響で最近は北朝鮮へ渡航できていませんが、1992年から2019年までに合わせて43回北朝鮮を訪れ、写真を撮影してきました。会場には、伊藤さんが広島・長崎で被爆した在朝鮮被爆者の苦悩を伝える写真も展示されています。

伊藤孝司さんの写真展「平壌の人びと」は、岡山市北区の天神山文化プラザで今月7日まで開かれています。