イスラエルの初の直接攻撃や、イランの”核施設への反撃示唆”でかつてない緊張状態にある中東地域。イスラエルで語られてきた旧約聖書の英雄にちなんだ”核戦略”とは?そもそも、両国はどのようにして対立が先鋭化してきたのか…報復の連鎖で起こり得る今後の展開とは?手作り解説でお伝えします。

イスラエルの英雄「サムソン」 

イランとイスラエルの攻撃の応酬に対し、世界中から自制を求める声が高まっているのは、なぜなのでしょうか。

旧約聖書に登場するイスラエルの英雄で、とてつもない怪力の持ち主「サムソン」です。その宿敵であるペリシテ人。ちなみにこの「ペリシテ」が、今のパレスチナという地名の由来になったそうです。

このサムソンの最期ですが、神殿の巨大な柱を素手で破壊し、大勢のペリシテ人たちを巻き添えに自らも建物の下敷きになって死んだとされているんです。

イスラエルには、核兵器を使う際には、このサムソンのように自らも滅びることを覚悟して敵国に壊滅的な打撃を与える戦略、その名も「サムソンオプション」という考え方があると語られてきました。

核保有のイスラエルとイランの軍事力

核保有についてイスラエルは、否定も肯定もしない戦略をとっていますが、90発の核弾頭を保有しているとみられています。

一方のイランですが、核兵器は保有していないものの、極超音速型を含む弾道ミサイルや巡航ミサイルなど数千発のミサイルを保有しているとされ、中東地域で際立った軍事力でイスラエルと対峙してきました。