巧妙な手口で「ポンジスキーム」

オレンジスーパー定期で集めた93億円のうち、63億円は国会議員になってからのものです。友部は国会議員の地位をまさにカネ集めの道具として使っていたのです。
友部の手法は巧妙でした。特徴は3つあります。

挑戦5度、執念で得た議員バッジでしたが、本当は何がしたかったのでしょう。

①「共済」を名乗って安心させた
友部本人は「オレンジ共済は、こくみん共済、都民共済、KSD、JA共済に続いて国から5番目に認可を受けた共済である」とウソを吹聴していました。これで顧客を安心させたのです。しかし、実態は無認可でした。ところが「国会議員がやっている」ということで誰もが「きっとそうだろう」と思い込んだのです。

代理店も「まさか国会議員が主宰する共済が、詐欺的商品だったとは」と証言しました。

②「ほんの少し高い金利」だったこと
オレンジスーパー定期は、普通の生命保険や損害保険などと並んで代理店で売られました。20%や30%ではなく、7%という微妙なセンが「ウソっぽくない」「他の金融商品より少しだけ有利」と顧客の心を捕まえたのでしょう。

利率は7%「そこまで破格な利益ではない」というのがウマいところでした。

③当初は配当金を払っていた
当初、配当金は毎月支払われていたと言います。しかし、実態は単なる自転車操業で、新しい顧客が払ったカネをそのまま配当に回していただけでした。今から思うと、いわゆる「ポンジスキーム」という詐欺の典型例で、破綻の日まで顧客をつなぎとめ、安心させ、ますます買わせる、ための配当金だったのです。

当初、配当金は毎月支払われ、顧客は安心してしまいました。典型的な「ポンジスキーム」の手法です。

当然のように配当はやがて滞りました。そして、すべてがウソだったと分かったのは、友部ファミリーが全部を使い切った後だったのです。

逮捕、収監、もちろん政界追放、しかし……

逮捕の瞬間。友部は「みんな秘書がやった」と言い放ったそうです。

オレンジ共済は破綻。初当選から1年半で、友部は出資法違反および詐欺罪で逮捕されました。判決は懲役10年。しかし友部は失職までの約4年間、不登院の状態で議員のイスにしがみつき続けました。

最高裁で、懲役10年の実刑判決が確定し、ようやく失職しました。

その間、1億6000万円の議員歳費が支払われ続けましたが、そのほとんどは被害者団体が差し押さえたそうです。